今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、人間環境大学新学部設置準備室室長で環境科学部教授の深澤良彰さん。来年4月の総合環境学部の開学に向けて準備を牽引する深澤さんの専門はソフトウェア工学です。今回は深澤さんに「プログラミング」という大きなテーマで、2週にわたってお話を伺います。キーワードは「教えて!フカえもん先生」「もったいないプログラム」「生成AIとソフトウェア」の3つ。何かと話題のChatGPTに、こんな質問を投げかけてみると…。
佐伯)一つちょっと試しにですね、「南海放送の強みとは何ですか?」と ChatGPT に聞いたら、どんな答えが出てくるんでしょう?
深澤)聞いてみます。ChatGPT の3. 5、3. 5ってのは無料で使えるバージョンです。ですから、どなたでもパソコンとインターネットさえあれば使えます。それに「南海放送の強みは何ですか?」って聞いてみます。そうすると ChatGPT は何と答えるかと言いますと…
「南海放送の強みは、地域密着型の放送局として地元のニュース、情報、そしてコミュニティに焦点を当てていることです。」
佐伯)はい!
深澤)「南海地域」…どこですか?
佐伯)南海地域???南海地域って…南海放送の南海は南海道っていう和歌山からずっと愛媛に渡ってくるんだけど、放送しているのは愛媛地域です。
深澤)はい。でもこれはチャットGPT がまだ馬鹿なところで、「南海地域の人々にとって身近な存在であり、地域のニーズや関心事に応えることができる点が大きな強みです。また地元のイベントや文化伝統を積極的に取り上げることで、地域社会との強い結びつきを持っています。これによって、視聴者やリスナーが南海放送を信頼し、愛着を持つことができるのです。」
佐伯)へ~っ。
深澤)これが今ChatGPT に聞いたときの南海放送の強みです。
佐伯)すごい!なんか弊社の総合企画室が考えたのかなっていう回答。「南海地域」はちょっとね、アレでしたけど。
深澤)そうです、イマイチ、だから人が直さなきゃいけないんですよね、後で。
佐伯)だけど、それ以外は本当にすごい!今「私たちは、愛媛主義」を掲げて、南海放送いろいろやってるんですけれども、社長が見たら「そうだそうだ」って言いそうなぐらいな(笑)、やっぱり精度すごいですね。
深澤)社長がこっそり夜やってるかもしれない(笑)
佐伯)ChatGPT の中の人!?
深澤)私が知っている総長、学長が卒業式の挨拶、ChatGPT に作ってもらったっていう人、複数人知ってます。
佐伯)え~~~、そうなんですか!ちょっと、そしたら次の創立記念の社長の挨拶も…なんていう使い方ができるくらいな能力の高さですね。
深澤)そうなんです。
佐伯)は~。逆に弱みって…南海放送のじゃないですよ!ChatGPT の弱みって何ですか?
深澤)まず、先ほどの「南海地域」とか、なんかよくわからないことを答えてきちゃいます。ですからまだまだ完全に100%正確なことが返ってくるかっていうと、そうではありません。それはまぁ弱みっていうか、人間がサポートしなければいけないことだと思います。それから、あくまでもデータベースに書かれていることから出してきてます。ですから、そのデータベースが間違っていると、当然間違っていることが返ってきます。昔有名なのはガリレオ・ガリレイが「それでも地球は動いてる」ってボソッと言ったっていうことがありますよね。ただその頃の文っていうのはみんな「地球は止まっていて天が動いてるんだ」、天動説。みんなそう思ってたんで、その頃の文章ってのはみんな「地球は止まってて天が動いてる」っていう文章。
佐伯)そういうデータベースでしかないと。
深澤)だからガリレオ・ガリレイの時代に生成 AI があったとしても、答えは「天が動いてる」っていうことになると思います。
佐伯)じゃ、全く新しい発明的な発想っていうのがない。
深澤)ない。
佐伯)今までの経験値の積み重ねから判断していると。
深澤)そうですね、合わせ技一本みたく、ちょっと新しいものとちょっと新しいもの、結びつくかどうかわからなかったものを結びつけて新しいものを作るっていうことは実はできるんですが、完全に新しいもの、創造的なものを作るっていうことに関してはまだまだだと思います。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
[ Playlist ]
Myron & E – They Don’t Know
Phoenix – Holdin’ On Together
Earl Sixteen – A Love That I Can Feel
Selected By Haruhiko Ohno