今週は、「坂の上の雲ミュージアム」特設ブースからの生放送!
今年4月に新館長に就任された伊藤彰規さんと、新学芸員の長谷川巴南さんをゲストに、ミュージアム敷地内で建設が進む安藤建築「こども本の森」について、さらには学芸員のお仕事についてなど、幅広いお話を伺いました。今年のGW、県内施設のうち前年からの来客増加率がベスト3に入った坂の上のミュージアムの魅力、ますます広がっていきそうです。


佐伯)ここからは、今まさに工事が進められています、安藤忠雄さんの手がける「こども本の森」図書館について伺っていきます。伊藤さん、本当に今鉄筋むき出しの状態が眺められるという希少な経験をさせていただいているわけなんですけれども、改めてこの「こども本の森」図書館というのがどんなものなのか、教えていただけますか?

伊藤)近年「こども本の森」という図書施設が全国各地で開館されているのをご存じの方ももうすでにいらっしゃると思うんですけれども、この松山市のミュージアムにも令和7年7月に増築される形で完成します。「こども本の森」は建築家・安藤忠雄さんが、未来を担う子どもたちにもっと本に触れて欲しいという強い希望から計画されています。どの施設も安藤さんが設計・建築して、躯体の完成後に自治体に寄付をするという形で行われています。

佐伯)これがもう本当にありがたいですよね。

伊藤)はい。もちろん運営に関わるような費用とか本なんかはですね、その後自治体が負担するんですけれども、大規模な施設を建築して寄付を行うという、まあ一般人にはできないような崇高な活動を行われているわけなんです。

佐伯)ええ。

伊藤)大阪の中之島とですね、岩手県の遠野市、兵庫県の神戸市、熊本県で開館しています。

佐伯)ということは全国で5番目の施設になるんですか。これは松山市の方から提案…「松山にもどうですか?」って提案をしたのではなく、安藤さんの方が松山にって選ばれたんですか?

伊藤)そうです。やはりミュージアムがあるところにあえて、子どもにも来てほしいというような願いを込めて企画してくれたんだと思います。

佐伯)ああ、そうなんですね。これもありがたいことですよね。で、まぁそれぞれの施設についてはホームページなどでも…

伊藤)そうですね、はい、見ていただけたらイメージは伝わってくるんじゃないかなと。

佐伯)で、きょう実はこちらのブースに伊藤さんがその建築の完成予想図ですか、持ってきてくださったんですけれども、一言で言うととても…素敵です(笑)

伊藤)ありがとうございます。

佐伯)っていうのが、いま我々がお話をしている特設ブースは建物の2階に位置しているんですけれども、その高さのところにちょうどなんか宇宙船みたいな形でくっついている。

伊藤)楕円形の、はい。

佐伯)楕円形で、このミュージアムと同じくガラス張り。

伊藤)そうですね、ピロティ形式いうんですかね。

佐伯)あ~。で、その中にある図書スペースっていうのがこう…1、2、3、4、5、6…7段。

伊藤)かなり高いところまでですね。

佐伯)床から天井に近いところまでの本棚があって、で、申し上げたようにガラス張りですので非常に開放的な雰囲気の図書スペースですね。

伊藤)はい。もう本当にぜひですね、子供もそうなんですけれども多くの方に利用していただけるような施設になってほしいと思っているんです。これに関してですね、安藤忠雄さんが建築のコンセプトをちょっとメッセージくれているのでちょっと読み上げようかなと思うんですけど。

佐伯)はい。

伊藤)「坂の上の雲ミュージアムの敷地内というユニークな立地特性を生かし、こどもが自由に本と出会い、本を楽しみ、本に学べる場所にしたい。外装は、上広がりに傾斜するガラス壁で、ミュージアムのデザインコードを踏襲しつつ、その外形は、ミュージアムの三角形に対し、楕円形とする。この形のコントラストが、坂の上の雲の街づくりの新たなランドマークを形成していく。ピロティ形式として建物を宙に浮かせているのは、こども本の森の主階レベルをミュージアム2階のライブラリーラウンジに合わせているためで、楕円形のワンルーム閲覧室は、それ自体、こどもたちがどこでどのように本を読んでもいい、自由な空間ですが、それをミュージアムのパブリックスペースと接合させることで、自由はさらに広がるよう工夫している。地域文化の中心となるべき施設の真ん中で、こどものためのこども本の森が胎動する。その情景は、きっと坂の上の雲フィールドミュージアム構想の精神を象徴する、新たな街の力となることだろう。」いかがでしょうか。

佐伯)素敵な文章を寄せてくださっているんですね。その図書スペースなんですけれども、木のぬくもりを感じさせるような本棚、そして広々とした空間が広がっていまして、これあの子供たちじゃなくても私もここで本を読みたいなって感じるような…

伊藤)はい、もうぜひ大人の方もですね、入れますので。

佐伯)いいんですね!

伊藤)大丈夫です。「こども本の森」とはなってますけれども、大人も入っていただいて大丈夫ですので。

佐伯)ここで城山の緑も感じながら、本当に癒しのね、時間を過ごせそうですよね。

伊藤)よろしくお願いします。

佐伯)これが、ミュージアムの2階部分から入ることができるようになるんですか?

伊藤)ミュージアムと同じ導線になってますので、入り口は2階から入ってきて図書室に行くような感じですね。

佐伯)じゃあこれによって、まあこれまでももちろん家族連れできてくださってるお客様多いですけれども、小さいお子さんはこちらのスペースで本を楽しみながら、お兄ちゃんお姉ちゃんとか親御さんがミュージアムの中の展示をご覧いただけるとか…

伊藤)そういう展示の見方もあると思います。逆に「こども本の森」で何度か来たことある人が、今度はやっぱり「坂の上の雲」に興味を持って、自分の気持ちで見に来ると、展示を。ということもあり得るんじゃないかなと思いますね。

佐伯)しかもこの図書スペースでしたら日常的に来てくれる子供たちもできるでしょうから…

伊藤)二度三度、やっぱり足を運んでいただきたいですからね。

佐伯)また生活の中にも入り込んでくるのかなぁなんて感じます。となると、市長が進めているあの4つの柱のうちの一つ「子育て環境の充実」にも大きく貢献する施設になりそうですね。

伊藤)本当にそうなってもらいたいと思います。あとは、もう一つの別の柱の「街のにぎわい創出」というのもあるんですけど、ここにも大きく影響してくるような施設になるんじゃないかなと思ってます。

佐伯)ここを訪ねた子供たちが、「坂の上の雲」の3人の主人公のように自分の将来の夢みたいなものを見つめて…

伊藤)その通りですね、本当にそうなってほしいです!

 


[ Playlist ]
Linda Lewis – Old Smokey
É Arenas – Permission for Indifference
Mark Murphy – Why Don’t You Do Right
Bibio – C’est La Vie

Selected By Haruhiko Ohno


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