今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、愛媛大学教育学部教授の立松大祐さん。英語教育学が専門の立松さんが特に力を入れているのが、「リテラチャー・サークル(LC)」です。もともとは、グループごとに同じ本を読み、お互いにどう読んだかを伝えあい共有する読書活動で、アメリカなどでは読みの学習として実践されていますが、それを日本の英語の授業に取り入れようと研究されているんです。愛媛はその先進県でもあるそうですよ。子供たちが自らの成長を自覚できるとして注目されているLCについて、「レッツスタートLC」「リアルLC」「エンジョイLC」の3つのキーワードで紹介していただきました。


佐伯)うかがってますと回を重ねるごとに「他の班の人はこんな意見が出てた」とか、「どういう返しをしていたんだ」とかというところの気づきもありますし、生徒たちもハマっていくんじゃないかなという気がしますけれども、実際にその生徒たちの反応はどうでしたか?

立松)実際にはですね、生徒たちは大変熱中をして…

佐伯)でしょうね!

立松)取り組んでくれています。

佐伯)自分とは全然関係のない話ではなくて、自分事として捉えた上で意見を述べなきゃいけないっていうところが、何でしょう、自分の考えを育むのにも役立ってそうですもんね。

立松)そうなんです。それがですね、私も驚きの一つだったんですけれども、最近の生徒さんの様子を見ていると自分のこととか自分で考えたことっていうのを伝えるのが、どうやら好きです。

佐伯)へー!以前は、日本はそういうことがなかなか苦手な分野として捉えてた気もするんですが、そういうことをしたいっていう思いがあるんですね、今の若者たちは。

立松)そこが私も驚いたところでして、この学習をやってみて、私も先ほど佐伯さんがおっしゃった通り、「もしかしてそういうことは恥ずかしかったりとか思うんじゃないの?」と思ってたんですけれども、こう一生懸命読んでみて、自分とそのテキストの繋がりとかを考えたり、友達とやり取りする中、こういうプロセスを通すと、もしかすると子どもたちは自分のことを語るのがとても好きになっていくんじゃないのかっていうような思いに至っています。

佐伯)それ英語の力だけじゃなくて、自分の考えをまとめる、それをしっかりと伝えるっていう能力にもつながっていってるわけですね。

立松)その通りだと思います。

佐伯)そうですか。先生、私なんかは英語に興味があるので、すごくなんか楽しそうと思ってワクワクしてくるんですが、あんまり得意じゃないんだよねっていう生徒さんは取り残されたりはしないんでしょうか?

立松)はい、あの大変いい質問だと思います。ここがですね、英語でやるリテラチャーサークルの不思議なところ、面白いところだと言えるんですけれども、先生方にお伺いしているとですね、苦手な生徒も必死で準備をしてくれます。

佐伯)あ、そうなんですか。

立松)「なんとかして自分の役割を果たそうとしてくれます。不思議ですね。」っていうようなことをおっしゃってくれる先生方が結構いるんですけれども、おそらくですね、自分に役割がある、そしてその役割を果たさないとその4人5人でのグループの活動がうまくいかないぞっていうようなことで、なんかその責任を感じてくれたりとか、自分でもやりがいを持ってくれたりとかしているんだと思います。で、また先ほど言ったジグソー学習というところで、互いに教え合いとか学び合いとかいうステージがあって、そこでの学習で少し自信を持って、で実際に使ってみて「あ、通じた!」「分かった!」っていうような思いが自信につながって、英語を苦手な子も一生懸命になって取り組んでいける活動になっているんだと考えています。

佐伯)ああ、これ自分だけの勉強じゃないんですもんね。

立松)そうなんです。お互いが一生懸命グループの誰それのために、私がこう質問することは彼のために彼女のためにっていうような、互恵的な関係の共同学習になっていると思います。

佐伯)あと自分の果たす役割が誰かのためになるというふうに感じられるっていうことは、すごくまああの自己承認っていう意味でも支えになるんでしょうね。

立松)だと思います。実際に先ほども附属中学校での話をしましたけれども、附属中学校での印象ではリテラーチャーサークルのグループ活動をやればやるほど、学級の仲が良くなっているっていうような逸話があります。

佐伯)へ~、そうですか!

※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。

 

 


[ Playlist ]
Badly Drawn Boy – The Further I Slide
Elizabeth Shepherd – Numbers
Prince – Reflection

Selected By Haruhiko Ohno


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