今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、四国中央市の赤石五葉松輸出振興組合会長である森高準一さん。四国中央市は日本最大級の盆栽の産地、ということを皆さん御存知でしょうか?赤石山系に自生している赤石五葉松は貴重な高山植物。しなやかで女性的といわれる五葉松は、「盆栽の女王」とも称されています。近年では土付きで輸入できるヨーロッパで人気を集めており、森高さんは四国4県で連携し「四国の盆栽を世界ブランドへ」という夢に向かって尽力されています。お話を伺って、私も人生初の盆栽を始めてみました!今回は「ローマ教皇と赤石五葉松」「乱獲で絶滅の危機」「盆栽のデジタルマーケット」というキーワードで、その魅力について聞きました。


佐伯)一つ目のキーワードです。「ローマ教皇と赤石五葉松」ということなんですが、いきなりローマ教皇が出てきました。これはどういうことでしょうか?

森高)これも人と人のご縁でですね、ローマ教皇様に赤石五葉松の日本の盆栽を寄贈することができました。

佐伯)へ~、いつですか?

森高)2019年の10月ですね。

佐伯)5年前…あら、お写真があるじゃないですか!実際にローマ教皇に…これ森高さんですよね。大きな五葉松の盆栽、高さがどのぐらいあるでしょう?

森高)高さはですね、1m 50ぐらいありますかね。

佐伯)ということは、樹齢は?

森高)120年と150年の盆栽2本ですね。

佐伯)貴重なもの!でも、それどういうご縁があって?

森高)これはですね、歴史を遡るところですね、徳島出身の三好長慶(ながよし)=三好長慶(ちょうけい)と言われますけども、阿波の国の武将がおりました。戦国時代ですけども、その三好長慶のご縁でですね。フランシスコ・ザビエルに、カソリックの布教の許可を出したのが 三好長慶。そのご縁でですね、桜を30本、ソメイヨシノと徳島県の蜂須賀桜っていうのを植えるセレモニーがありまして、それを植えに行きたいが、バチカンの庭園管理者 400人おりますけれども、そのトップが「盆栽ブームで、どうしても盆栽を2本くれ」と。「それを条件に桜を植えらしてやる」という条件がつけられて、徳島の県立農大の教頭先生から「お前のとこ、盆栽あるやろ!盆栽をなんとか寄贈しないか」っていうお話を頂いて、「喜んで!」っていう約束を2004年にしたわけです。それから2004年に聖パウロ2世にお会いに行ったんですけど、植物検疫の関係で3年以上かかる。その間に聖パウロ2世が亡くなっちゃって、その次のローマ教皇も亡くなっちゃって、なかなかお約束を果たせないままになってました。これは死ぬまでに、私はお約束したことを嘘をついたらいかんということで、当時の谷口神父さんっていう徳島においでた方にまたお電話差し上げてですね、「そろそろ、もう15年経ったんで盆栽をローマ教皇に持っていかないかんな」ということをご相談したわけです。すると「すぐ来い!」と。

佐伯)え、そうなんですか!

森高)フランシスコ教皇から「すぐ来い」と言っても、「お金もないし、すぐには行けないな」と思いながら苦心しとる時にですね、 ちょうど農林水産省のグローバル産地再生事業という、盆栽のこの地域を再生しようというのを、愛媛県ブランド戦略課にお世話になりながら9月議会に認可をいただいたんです。それで 2019年の10月に、その盆栽を飛行機で送ってですね、寄贈をするイベントを成功することができました。

佐伯)じゃ、いろいろなタイミングが重なって実現したのが2019年だったと。

森高)そうです。

佐伯)ということなんですね。だけど、その盆栽だけが行くんじゃなくって、森高さんご自身も…

森高)そうです。

佐伯)贈呈に携わったというか、立ち合われたということで、どんな状況でした?

森高)「すぐ来い」って言ってもなかなか行けなかったんですけども、1ヶ月遅らせていただいて、「2004年の聖パウロ様との約束を果たしに参りました」ということで、「日本のものづくり…自然の風景を醸し出す盆栽というものづくりが、世界平和に貢献できれば幸いです」という言葉を持って参上しました。そこでローマ教皇から、「アジアのカソリックの人間に期待するよ」っていうこともコメントいただいて、この15年にわたるイベントがですね、非常に価値のあるものに繋がったということで非常に嬉しく思い出しております。

 

 


[ Playlist ]
Build An Ark – You’ve Gotta Have Freedom
Norah Jones – Once I Had A Laugh
Rickie Lee Jones – On The Street Where You Live

Selected By Haruhiko Ohno


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