2024年の初回となる今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、宇和先哲記念館の泉仁美さん。「先哲」とは歴史に関わる偉人や賢人たちをあらわす言葉で、西予市宇和町に縁のある「先哲」についての資料を展示している記念館は、この番組とも共通するところがあります。そんな宇和先哲記念館で現在開催されている企画展が、「読めなくてもおもしろい！？東山田村庄屋梶原家文書」。宇和島藩の庄屋であった梶原家が残した古文書から、当時の暮らしなどを読み解こうというものです。古文書と聞くと「難しそう…」と腰がひけるかもしれませんが、この企画展ではゲームを取り入れるなど体験型の展示で、多くの方に古文書を身近に感じてもらおうと工夫されています。番組では「愛媛の古文書」を、「江戸時代のマラソン大会」「古文書ゲーム」「古文書の解読」というキーワードで紐解いて頂きました。
佐伯）現代でいうところの“マラソン大会”について、梶原家の古文書に記されていたんですか？
泉）はい、残っていたんです。“健歩”を実施するために住民に通達した回覧文書が残っていて、宇和島藩で第8代藩主・宗城の命で実施された記録が残ってます。
佐伯）しっかり残ってるんですね。でも住民にお知らせしたことっていうのは…今だったらチラシとかポスターとかで、「この時間はここは通行止め、交通規制がありますよ」とか、「何時から何時までの大会ですよ」みたいなものがね、知らせるようになりますけれども、当時はどんな感じのお知らせだったんでしょうか？
泉）はい、文久3年の「お回し文控え」には、「来ル十三日暁七ツ時」というように始まっていて、来たる13日の午前4時に…
佐伯）午前4時なんですね、暁七ツ時って!?
泉）暁七ツ時っていうのが午前4時。真っ暗だと思うんですけど…
佐伯）ですよね。
泉）ちょうど13日っていうのが満月にあたる時だったので、月明かりを利用して道中走ったのではないかなと思います。で、馬に乗ったお殿様を先頭に、宇和島から八幡浜を目指して走られています。
佐伯）へ～！お殿様は馬に乗ってる（笑）
泉）もちろんです（笑）。
佐伯）愛媛マラソンは、かつて愛媛県知事とか松山市長とか…
泉）走られてますね（笑）
佐伯）走られてましたけど、当時のお殿様はお馬さんに乗ってたという（笑）
泉）はい、先導した。
佐伯）こういうのも残ってるんですね。
泉）そうなんですよ。
佐伯）面白い！
泉）で、村々に「こうしてください」っていうような要望が出てたので、「危うき場所繕置き申すべき事」ということで「道を危なくないようにしましょう」っていうことや、「村境には立て札を建てて、曲がり角には案内人をおきましょう」っていうような通達もあったそうです。
佐伯）そのあたり、しっかりと心配りがされてるんですね。
泉）細やかに。
佐伯）昔のことですから舗装もされてませんし、なんか大きな穴が開いてたら塞ぐなり…
泉）土を入れてっていう。
佐伯）あと今の大会でもたまに道間違えるっていう場面、色んな大会で目にしますが、当時は ますます分かりにくそうだから（笑）
泉）そうですね、「各村で人を充てなさい」っていうことが細かに記されてたみたいです。
佐伯）こういうところ、しっかりと手配して行われたものだったんだなっていうのがわかるんですね。他にはどんなことが見えてきますか？
泉）藩士を鍛えるために長距離走の運用実態っていうのが伺えます。
佐伯）と言いますと？
泉）東多田では庄屋の屋敷に湯のみを用意して、到着した人から名札を見せるような形で時刻＝タイムを計っていたというような記録も残っています。
佐伯）へ～、そうなんですか！
泉）同じように卯之町でも時刻を記入して、さらにお昼ご飯の用意もしてあったそうです。
佐伯）おもてなしされてるんですね。
泉）はい、身分によっては香の物がついたりだとか、おかずの品数が増えたりとか、昼ご飯の内容も違っていました。
佐伯）え～、これなんか早く到着した人がご褒美でたくさんいいもの食べられるとかじゃなくて？
泉）それだったら頑張りますよね（笑）
佐伯）ねぇ。でも身分によって？
泉）身分によって、細かく分かれてたみたいですね。
佐伯）そういうこともわかるんだ。
泉）で、もし雨が降ったら次の日、さらに順延しましょうっていうようなことや、前日の準備についてとか、当日通行止め、「ここは皆さんが走るから危ないので、他の村の人たちは使ってはいけませんよ」っていうような…
佐伯）今とおんなじ！
泉）通行止めもあったようです。
佐伯）そうなんですね！けっこう細やかに…
泉）11項目あげられていました。
佐伯）本当に面白いですね。で、こういう古文書がある。これ見てみたくなりました！
[ Playlist ]
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El Haru Kuroi – Invenciones
Abyssinians – This Land Is For Everyone
Selected By Haruhiko Ohno
