今週は、「坂の上の雲ミュージアム」特設ブースからの生放送!
松山市坂の上の雲まちづくり部まちづくり推進課の矢野幸平さんをゲストに、「坂の上の雲フィールドミュージアム構想」の取組みについてお話を伺いました。松山市内全体を屋根のない博物館に見立てて、回遊性のある、物語のある街を目指すというフィールドミュージアム構想。松山市中心部のセンターゾーンと市内6つのサブセンターゾーンで2000年から行われてきた取組みの数々を振り返ると共に、久谷地区で始まっている未来への取組みのお話も。
矢野)ひとつモデル的にやってみてるのが、少し名前が長いんですけど、愛媛大学の学生さんと共同で「フィールドミュージアムアカデミー久谷カレッジ」という事業を今してます。
佐伯)アカデミックなタイトルで。
矢野)これは久谷のサブセンターゾーンで、特に先ほど言った通り久谷に地域資源たくさんありますので、それを愛媛大学の社会共創学部の学生さんたち、専門家ですので、その視点から、外の学生さんたちから見た目で客観的に分析とか評価してもらって、さらにどうやって活用していったらいいか、残したらいいかっていうのを今一緒に考えてもらってます。
佐伯)そうですか。もちろん矢野さんは久谷地域についても詳しくていらっしゃって、いろいろ知識もあると思うんですけれども、学生さんたちの視点だったりアイディアだったりで「あ、そういう風に見るんだ!」とか感じられたことってあります?
矢野)学生さんたちとこの事業を始めるときは、本当に最初、私たちはもう大きな骨組みだけ決めて学生の皆さんにどうやってやったらいいかを決めてもらおうと思ってスタートしたんですよ。僕は学生のみんなが、例えば地元の人たちとイベントをやってくれたりとか、なんか盛り上げのために可愛いパンフレットを作ってくれたりとか、なんかそういったことをちょっと想像して実はお願いしたんですけど、学生のみんなは「いや、自分たちが何をすべきかを、まずはきちんと調査したい」と。「地元の小学校とか中学校に対してアンケート調査をしたり、先生に聞き取りをして、いま学校でふるさとのことをどういう教え方をしているのか、子供たちは自分たちの住む地域をどう認識してるのかを、まずは調査からしたい」みたいな話になって。で、調査をしました。
佐伯)へ~。
矢野)その調査っていうのが、私も初めて見たんですけど「メンタルマップ」っていう調査なんですよ。
佐伯)え、なんですか、それ?「メンタルマップ」?メンタルって、気持ちみたいな精神みたいなことで言いますけど…
矢野)そうですよね。やってもらう事って言ったら、白紙の地図を児童・生徒さんに配って、それは小学校1年生から中学校3年生まで皆さんそうなんですけど、自分の家から学校とかその間にあるものを書いてくださいと。決まった時間の中で書いてもらうんですけど、これ一応 描いてもらった地図なんですけど…
佐伯)あ、いいですか?お、小学校低学年だと…本当に手書きの絵で書いてるんですね、お家があって学校があって、その間に畑がありますね。単純なものだけど、中学年とかになると郵便局がありますよとか、車屋さんがありますよとか。だけど、お店とかお家ばっかり出てくる感じになっちゃってますね。
矢野)近くにたぶんお寺とか神社とかそういったとこもあるんですけど、それをじゃあ地元の子供たちがどう認識しているのか。例えば家からある畑とかそういったところを「何もない空間」として認識してしまってるのかとか、そういったものをその地図から分析して、きちんと集計をしてもらいました。
佐伯)すごい!こういう調べ方があるんですね。
矢野)いろんな面白いことがそれで見えてきて、たとえば九谷中学校なんかだと、久谷の中でもやっぱり山間のとこの坂本地区と市内側の荏原地区に分かれてるんですけど、久谷中ってそのど真ん中にあるんですよ。で、中学校の子たちは、坂本地区から来た子たちは南の荏原のことをあんまり描けてなくて、荏原の子たちは逆に坂本の方をただの山って描いてたりして。というふうに、同じ久谷って地域の中でも認識がなかったりとか、そういったことも全部見えてきました。
佐伯)は~!それを踏まえて、じゃあやっぱり皆、あんまり若い子たち、特に子供たちにその宝物の大切さとか魅力とかっていうのが、もしかしてまだ伝わってないんじゃないかっていう課題が見えてきますよね。
矢野)逆に中学校に、それとは別に本当よくあるアンケートを取ってみたんですけど、アンケートの分析結果で見ると、地元の地域資源に行ったことがあったりとか知ってるっていう人と、将来また久谷に住みたい、戻ってきて住みたいっていうのって、実は相関関係にあって。地元の宝物知ってる子たちは、ふるさとのことが好きで将来戻ってきたいと思う割合が高いっていうのもこの調査で分かって。
佐伯)面白い!
矢野)じゃあやっぱりそこを、住んでる子供たちに向けて何かしていこうということが、これで分析できました。
佐伯)じゃあ、もう方向性がピタッと定まるわけですね。そこから学生さんたち、どんなふうな活動を?
矢野)1つやったのが、久谷中学校がいつも一年生向けに、「地域巡り」と言って、改めて自分たちの地域のお寺とか神社とかを巡る、一日かけて体験イベントみたいなのをしてるんですけど、そこにお邪魔して。そこで大学生が外からの視点で、違った目線で解説を。今までの学校で習った解説ではなくて、「実はこのお寺のこの彫刻ってこんなとこから見ると面白いんだよ」とか、「こんな謂れが実はあるの知ってましたか」っていうのを、地元のまちづくり協議会の皆さんと一緒に大学生が解説するというのをやります。
佐伯)へ~。もちろんね、我々大人が知ってほしくて色々と伝えるっていう活動も大事ですけど、それとはまた異なって、自分たちと年齢の近い大学生たちが、大学生なりの視点で解説をしてくれるっていうのは、子供たちもちょっと受け入れ方が違うんじゃないでしょうか?
矢野)そうですね、やっぱり私もその現場で見てて、本当にその交流の仕方というか、やっぱり自分たちが調べ学習で事前に見てきてパンフレットを見てお寺を見るというよりも、本当に交流しながらワイワイ楽しく話しながらやっていて、学生たちにとっても「子供たちにどう伝えるのか」みたいなので、お互いにとっていい経験になってるなと思いました。
[ Playlist ]
Barbara Acklin – Love Makes A Woman
Carlos Lyra – Influencia Do Jazz
America – Ventura Highway
Feist – One Evening
Selected By Haruhiko Ohno