ゲスト:大和屋本店 代表取締役 奥村敏仁さん
今週、坂の上に訪ねて来てくださったのは、道後温泉の老舗旅館「大和屋本店」の代表取締役、奥村敏仁さん。といっても旅館業の話ではありません。なんと、老舗旅館が”インターネットラジオ“を開局したというんです!その裏には、俳句の面白さの一つである「取り合わせ」の妙があるそうで…
佐伯)そういえば奥村さん、南海放送ラジオの特別番組にも何度かご出演いただいてますよね。
奥村)そうですね、あの年末とか大晦日にされてる…大晦日でしたよね?
佐伯)折々に。
奥村)憧れの松沢はつみさんに会えて嬉しかったな(笑)
佐伯)実際に聴くのを楽しんでいらした奥村さんが、今度自分がパーソナリティとして出演して情報発信していくという立場になった時にですね、こう何か「違うな、やっぱり…」と思われたりとかは?
奥村)そうですね、作るのは好きだけど…その「自分でどんどん喋りたい」って言う方でもないなっていうのに改めて気づいてですね、まあ広く色んな人に(伝えるっていう)…自分の考えがないんですね(笑)
佐伯)そんなことないと思いますけど(笑)。でも色々な方のお話を「聞いていく」ことで、新しい発見があったりだとかっていうのはありますよね。
奥村)そうですね。私が(インターネットラジオに)出た時は、オープニングの時と、あとなかなか時間がなくて行けないんですけど、マイク持って秋山好古のお墓とか、あとは宝厳寺とか円満寺とか、皆さんがお訪ねしていない…だいぶん知られてきましたけど、そういったところをご紹介するのを、ちょっとうんちくなども入れながら喋るということで。後はまあ、うちの(インターネットラジオを)提案してきた支配人が、色んなインタビューをして作ってるって言うのが大体パターンですけどね。
佐伯)そうなんですよね。今お話にあった、道後界隈のちょっと知られざる魅力のスポットを御紹介したりとか、支配人さんが愛媛の「すご味」を御紹介されていたりだとか。その中で、御自身の旅館をアピールするっていうところに敢えて触れないのは何でなんですか?
奥村)…何ですかね???アピールするものがないのかもしれないですけど(笑)
佐伯)そんなことないでしょう!
奥村)私自身は俳句はやらなくて苦手なんですけど、まぁ聞きかじりで、俳句の作り方に二つあって。一つは「取り合わせ」という遠いもの同士を組み合わせるというのがあって、それ自体が興味を引くということがあるので。まぁ口幅ったいようですけどいわゆる老舗旅館と言われているものと最新のインターネットラジオっていうのをくっつけると、例えばここに座らせて頂いてるように皆さんが興味を持って、「何だろうな?」ということで聞くわけです。私どもとしては、その「何だろう?」と思って接触してくれることだけで導線に。(ラジオを)ネットでやってますから、大和屋本店のホームページぐらい開けてくれますよね。それで十分で。
佐伯)あ~。じゃあ本当、私なんか、まんまと思うつぼな訳ですよ(笑)。そういうことなんですね。
奥村)その「取り合わせ」っていうのがっていうのがいい。だから、その他も色々あるんですけど、たとえば「老舗旅館と何とか」っていうのって、わりと目を留めてくれるわけですよね。それを活用させて頂いております。
佐伯)そうでしたか。いや、大和屋本店さんといえば、たとえば地元の食材を使った新しいスイーツを展開されたりだとか、色々な新しいものに挑戦されるっていうイメージがあったので、その一つとして、この「ホンマルラジオ」にも注目していたんですけれども。SNSだとか、もちろんホームページもお持ちなんですけれど、他にも色々メディアってあるじゃないですか。その中で「ラジオ」にこだわられたっていうのは?
奥村)まぁ、もともとラジオが好きだったっていうことと、愛媛発でそれ(インターネットラジオ「ホンマルラジオ」)をやってる創始者…要するに、すっげえ大きな話で言うとマーク・ザッカーバーグ(=Facebookの共同創業者)に会えるわけですよ。
佐伯)ああ!
奥村)(参加者の)数は全然違うけど、要するにそれを構想して作った人と話をして参加してるので。
佐伯)そういう物の見方なんですね!なるほど。確かに、このITの世界って、何がどこまで大きくなるかって、最初わかんないですもんね。
奥村)YouTube とか Facebook とかそういうものは参加者が多すぎて、もうそれだけで専門でやらないと注目を浴びない。Instagram とかでもね。且つすごく比較されると。それと、(大和屋本店は)本当に世界中にもの売ってるわけじゃありませんから、まあ一定程度知られればいい。ということであれば、非常に厳しい競争のところに入っていくよりも隙間、端っこで…
佐伯)ニッチな。
奥村)うん、そうですね。でも創始者は、ずっとニッチでいるつもりはないですし、本当にどうなるか分かりませんけど面白いですよね。
佐伯)デジタルメディアって、何人ぐらいがアクセスしたとか数字的にはっきりわかるじゃないですか。このあたりの反響というのはいかがですか?
奥村)もう開局してから1万回以上聴いてもらってる状態があるわけです。途中で(聴くのを)やめるかもしれないけど、それなりにセレクトして、まあ一週間に1000人ぐらい聞いてくれたりする時もあるんですよ。それ都会の人ですよ。都会の人が電車乗りながら聞くわけでしょう?そしたら広告的に言うと、そういう深みと言うか深さということで言うと、すごいいいと思うんですよ。(広告は)ばらまいてもあんまり関係ないようなこともあるし。それと喋りについては、CM は15秒、まあラジオだと20秒とか40秒とかありますけど、結局は(時間的制約で全ては)言えないので端折りますよね。でもまあ10分ぐらいあれば、ある程度一つの塊の話ができるということがあって。それは向こう(リスナー)も聴きたいと思って聴いてくれてるので、合意してるわけです。このあいだ伊予観光大使になられたピアニストの黒田映李さんにご出演いただいた時、一週間で再生回数が1000いくつかあって、東京とかにも何百局とか(ホンマルラジオのラジオ局が)あるんですけど、その中で週間アクセスでは10位以内に入ったじゃないかな。
佐伯)おめでとうございます!
奥村)興味を持てば、そういうふうに聴いてくれたりするっていう。それも「取り合わせ」ですよね、何でピアニストに老舗旅館がインタビューしてるん?っていう(笑)それは、まちづくりで一緒に行ってもらったりして子規博でもコンサートをやってもらったりとか色々あるので、なんですけどね。
[ Playlist ]
Marcos Valle – Flamengo Ate Morrer
Mario Biondi & The High Five Quintet – On A Clear Day
native – everafter
Marc Benno – Try It Just Once
Marvin Gaye – Mercy Mercy Me
Selected By Haruhiko Ohno