今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、えひめ洋紙株式会社代表取締役社長の山本恒久さん。SDGs意識の高まりで、プラスチック製品の代替として注目されている紙製品。今回は「食料や飲料の廃棄物を利用した紙」「広がる紙の世界」「意外なものが紙に?」の3つのキーワードで、紙のSDGsをテーマにトークを繰り広げて頂きました。
山本)プラスチックは軽くて丈夫だし着色しやすいし、安価で大量生産が容易だということで、生活に欠かせない、もう紙にはかなわないような存在ではあります。しかし、廃プラスチックに起因する環境問題が、燃やす際に発生する温室効果ガス、海洋汚染、生態系や人体に悪影響を及ぼすとか、世界的に問題となってきているのも事実です。今年5月にドイツで開催された世界最大の包装機械・資材の総合展示会というのがありまして、インターパックと言うんですが、そこに参加された方の話を聞きますと、環境マテリアルというのがほとんどで、その中に紙関連の出展が大変多くなったという風に聞いております。EUでは2030年までに、EU 市場で流通する全ての包装の再利用やリサイクルを目標にしております。
佐伯)すべて!
山本)はい。リサイクル率の低いアフリカとかインドでは、プラスチック製の袋や容器などの製造・使用を禁止する法律を導入したり、違反した場合は罰金や懲役を科せられるほど厳しいとかですね、世界的に一気に、このプラスチック削減の流れが広まっています。
佐伯)なるほど。
山本)それに伴って、国内ではつい最近スーパーのイオンがですね、食品にCO2削減の度合いを示すラベルを、野菜など最大23品目に貼り始めております。この脱炭素ラベルという発想も欧州企業が先行してきておりまして、その流れを受けて国内の小売業にもさらに広がる見通しがあります。で、よく聞かれると思いますが「エシカル消費」と言って、倫理的消費という風に言われるんですが、環境を意識した商品とか、それを取り組む事業者を選択的に、物を買う行動が広がっておりまして、事業者もですね、購買者に意識付けを図るとか環境に対する取り組みをアピールするとかいう動きが、これからも加速していくというふうに思います。
佐伯)ますます広がっていくということなんですね。あの、これまではですね、循環型社会を表す言葉としては、3 R=リデュース、リユース、リサイクルっていうものが呼びかけられていて、 これは皆さん聞かれたことあると思うんですが、そこからさらにもう一歩突っ込んだ感じに進んできているっていう事ですよね。
山本)そうですね。まあ最近ですね、この3つに加えてよく聞かれるキーワードとして「リニューアブル」という言葉がありますが…
佐伯)リニューアブル?
山本)はい、これ「再生可能な資源に、今まで使ってたものを替える」という、その動きですね。 また「サーキュラーエコノミー」という言葉がありますが、これは廃棄されていた製品とか原材料などを資源と捉えて、リサイクル・再利用などで活用して資源を循環させるという、こういう考え方ですね。
佐伯)じゃあ、もう本当にどんどん進んできているっていうことなんですね。
山本)そうですね。
佐伯)今までは廃棄されていたものがまた資源として利用されて生まれ変わるっていうのが、「サーキュラーエコノミー」という循環型経済になっていくんですね。
山本)また、これも最近よく聞かれる「アップサイクル」というのも同じような発想でして、捨てられるはずだった廃棄物とか不用品を再利用して、以前より付加価値の高い製品を作るという動きのことを言いますね。
佐伯)これはリサイクルよりもさらに進んでますね!
山本)ですから、この廃棄物の削減とかそれの有効利用とか、さらにこの環境問題に取り組む企業の姿勢をですね、PR するということが今出てきておりまして、まあそれを企業側が話題性のある独自の広告宣伝活動、ブランドイメージの戦略、こういったものに取り入れてですね、より活発化していくように思います。
佐伯)確かにこの環境保護、それからSDGsへの感度の高い企業、というかそこにアンテナを伸ばせないような企業に対しては、もうイメージが全然違ってきますもんね。
山本)そうだと思いますね。
佐伯)これはもう欠かせないキーワードになっていると。
[ Playlist ]
Linda Lewis – Old Smokey
Radiohead – No Surprises
Yumi Zouma – Half Hour
Selected By Haruhiko Ohno