今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、愛媛植物研究会会長の松井宏光さん。愛媛を拠点に植物観察や絶滅危惧植物調査などを行っている愛媛植物研究会は、一般の植物好きな方から研究者まで約50人の会員の皆さんで活動していて、中には朝ドラで話題の植物博士・牧野富太郎に会ったことがある人もいるんだとか!今回は愛媛と牧野富太郎の関わりに注目し、「牧野博士が命名した愛媛の植物」「牧野博士の予言」「雑草という草はない」という3つのキーワードで、お話を伺いました。
松井)(牧野博士が命名した愛媛の植物)2つ目は、「シコクイチゲ」。
佐伯)これは「四国」という名前なんですね。
松井)キンポウゲの仲間で、アネモネの仲間なんですね。これはもう石鎚の本当に高いところの岩場にだけ咲いてて。
佐伯)へ~。
松井)見る人もそこに行くのが難しいんですが、「イチゲ」というのは「一の華」と書きます。つまり四国を代表する花という和名をもらってます。
佐伯)こちらは、白い花弁にメシベのところが黄色い…
松井)そうです、典型的なキンポウゲの特長を示してます。これ、「Anemone sikokiana Makino」という…、「アネモネ」というのは俗名で、「シコキアナ」というのは四国にあった、で後の 「マキノ」というのが命名者です。だから「牧野博士が命名した、四国に咲いているアネモネ」 という意味です。
佐伯)あれ、じゃあこれは学名が?
松井)学名が、はい。
佐伯)新種として認められた、牧野が発見したものの一つなんですか。
松井)牧野富太郎が新種記載した植物はかなりたくさんあるんですが、ところがその後分類が変わったりして、その命名者とか学名自体が変わったのがありますが、これはもう今でも生き残っている。「牧野」という命名者の学名が残ってます。
佐伯)そうなんですね。これが「シコクイチゲ」。石鎚山系のそんな限られた険しい所にしか咲いてないって、そこに行ったってことですもんね、見つけたってことは。
松井)そうですね、登って行ったんですね。
佐伯)ね、すごいですね。我々が見られるのは写真だとか、今そういう感じですかね。そこまでなかなか行けない?
松井)ちょっと頑張って石鎚の頂上まで行ってもらったら、その途中で見られます。
佐伯)そうなんですか。
松井)もう手の届くようなところにあるんですが、頂上に登った、頂上の岩場にもあります。でもこれは愛媛県でも非常に貴重なものなんで、とるのは写真だけです。
佐伯)そうですね。ちなみに花が咲くのが?
松井)7月ぐらい。
佐伯)じゃ、お山開きになって…
松井)の、ちょっと後ですね。
佐伯)そうなんですか。じゃ、この夏もし登山計画のある人は、これをぜひ。「シコクイチゲ」、気にして登ってみてはと思います。
松井)これは本当に石鎚だけにしかないものです。
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Selected By Haruhiko Ohno