今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、株式会社新栄食品代表の林司朗さん。林さんは、新田高校野球部OBで「近藤兵太郎をたたえる会実行委員会」会長でもあります。近藤兵太郎といえば、松山商業を6年連続で甲子園出場に導き、日本統治下にあった台湾の高校「嘉儀農林学校」を甲子園の決勝まで勝ち進めたことでも知られる名監督。ちょうど坊っちゃん劇場では近藤兵太郎を題材にしたミュージカル「KANO~1931甲子園まで2000キロ」が上演されていて、あらためて注目されています。今回は「カンカン帽をかぶって下駄をはいたおじいさん」「運動会をやめさせろ」「本当の練習は極限になってから」という3つのキーワードで、近藤兵太郎から直接野球指導を受けた経験を持つ林さんならではのエピソード満載のトークを繰り広げて頂きました。


佐伯)1つ目のキーワードです。「カンカン帽をかぶって下駄を履いたおじいさん」っていうことなんですけど、これはどういうことでしょうか?

林)近藤先生が初めて新田に来られた時の第一印象なんです。カンカン帽をかぶり、下駄履きで現れたわけです。

佐伯)これが初対面の時の様相だったわけですね。

林)そうなんです。そして小柄なおじいちゃんですから、そんなに速くないんです。

佐伯)動きも。

林)ゆっくりと。お話をされる時に甲高い声なんです。本当にね、ちっちゃい体なんですけど声だけは大きいんです。最初の印象はそういうことでした。

佐伯)そうなんですか。とくに大柄でいかにも体育系の指導者、という感じではなかったと。

林)まったくありません。

佐伯)まったく!そうなんですね。じゃあ、この人が新しい監督ですよって言われた時に、林さんたちはどんな風に受け止めてたんですか?

林)まあ正直申しましてね、このおじいちゃん何ができるのかなと。却って今の部長さんのほうが良かったなと、率直にそう思いましたけどね。最初の日はね、あまり多くは語らなんだような気がします。我々が勝手に練習しとるのを黙って見ておったと。そういう感じは受けましたね。

佐伯)そうですか。それが初日だったわけなんですが、指導っていうのは?

林)先生もそう大柄ではありませんので、元気に走り回るというタイプではないんですよね。ですから、だいたい同じ位置に先生座られて、呼びつけるわけですよね、ちょっと来なさいとか。 「今の取り方はこう取ったけど、こういう風に取った方が次の動作の時には早いんじゃないか」 とかいうことを、まあ一人ずつ呼んで、そして「次からはこうしなさい」と。最初はそういうような言い方でしたね。そして連携プレーであるとか、色々なことをこうした方が早いんじゃないかとか、今後はこうやりましょうというような話し方で入ってきたように、そういう風に思ってます。

佐伯)いま「最初は」っていうお話でしたが、だんだん変わっていくんですか?

林)そうなんです。それがね、いちばん我々がびっくりしたのはね、ピッチャーとキャッチャーはグランドの外でいわゆるピッチング練習するわけですよね。で、キャッチャーの前に、ちょうどバッターが立つ位置に糸を張るんです。ちょうどね、今テレビあたりでバッターが立つ位置のところに角い枠ができます。

佐伯)ああ、ああ!あの、ここがストライクゾーンみたいな。

林)それをね、糸を吊るしたものをキャッチャーの前に吊るすんです。それを近藤さんが考えて作られたんです。

佐伯)そこに球を投げろと。

林)そうそう。そこに投げろといっても糸なんです。インコースとかアウトコース、上下とか、それを糸で張ったもの。だからキャッチャーは受けにくかったんですけどね。

佐伯)そうでしょうね。

林)それをね、どこの学校もどこも見たことなかったですね。そういうものを作って、それをまず始める。

佐伯)ほ~。じゃあやっぱ他の人がやってないようなことを取り入れる練習の仕方。

林)そうですね!だからね、この人は何か考えるん好きなんかなという感じは受けましたですね。近藤先生は松山商業で野球部に入られて、そして卒業されてもコーチとして野球部に残られて、そして監督になられたわけですが、松山商業の選手時代から野球というものを解読されて、そしてアメリカからルールブックを取り寄せて英語の先生にそれを訳してもらって、野球 というスポーツをどういうものなのかということから、どうも松山商業のグランドでみんなで研究した。それは後に近藤先生からお聞きしました。

 

 


[ Playlist ]
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Charlotte Gainsbourg – In The End
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Selected By Haruhiko Ohno


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