今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、NPO法人「森からつづく道」理事長で松山東雲短期大学の名誉教授の松井宏光さん。皆さんは、松山市北条地区に「オオキトンボ」という絶滅危惧種が生息しているのを御存知ですか?全国屈指のオオキトンボの聖地として、全国から見学に来るファンもいるそうです。身近な生物に目を向けることから、生物多様性、持続可能な環境への取り組みなどへトークが広がりました。


佐伯)全国的に珍しいオオキトンボが、どうして北条地区にたくさんいるんでしょうか?

松井)それを解明するためにずっと調査してますが、今までに分かったことは、もともとオオキトンボというのは大昔、はるか昔は自然の川が氾濫した、そして氾濫した水たまり、そういう浅い水たまりに産卵する。そこは敵も少ないので。そのあと現在はため池が秋になって水を落とすんですが、その落とした水際、それが遥か先祖が卵を産んでいたのと同じような感じでうつるんでしょう、そういうとこに卵を産みます。昔々はどのため池も稲刈りが終わったら水を落としてたんです。で、池の補修をするとかいろんな目的があったのに、今は改修されると落とさない。ところが北条のため池の多くは、ちゃんと水を落として水位を下げるんです。多分それがオオキトンボがここに局在している理由だと思います。

佐伯)ああ、そういうことなんですね。昔ながらの方法で稲作をしているって言うところの影響なんですね。そしてそこで産卵をする秋のオオキトンボなんですけれども、1日はどんな感じで過ごしているんでしょうか。

松井)ちょうど今の頃、産卵っていうのはやっぱり天気のいい時、そして風がない時で気温が比較的高い時に産卵に来ます。それ以外の時間はため池の周りの草むらに待機してます。そこで、まぁ小さい虫を食べたりしながら気温が上がるのを待ってます。で、夜になると数百メートル離れた雑木林とかみかんの放棄されたところの枝にしがみついて夜を過ごします。夜はほとんど動かないので、近くに行っても、ほんのちょんと触ってもじっとしてます。朝6時ぐらい、明るくなったころ現地に行くとまだじっとしてますが、朝日を受けるとポッと飛び出すんです。気温が高くなると活動を始めるという、ちょうどそんな1日の行動が、この9月10月と11月ぐらいまで続きます。

佐伯)ということはやっぱりため池があること、そのすぐ近くにそういう草むらだったり雑木林だったり木の茂っているところがあるって言うところがコンパクトにちょっとまとまっている北条地域っていうのは、オオキトンボにとっては格好の生息地だっていうことですよね。

松井)あぁそうですね、すごくいいことに気がつかれました。

佐伯)あら!

松井)ため池があって、ため池があれば当然水路もあって、で、近くに草むらがあって、ちょっと離れたら雑木林がある。ちょうど昔の日本の風景、それがコンパクトにまとまっている。ですからオオキトンボが居るということは、昭和40年50年ぐらいのいわゆる「里山の風景」が保存されているということで、実はオオキトンボ以外にも色んな生き物が、今でもその絶滅危惧に近づいている生き物が、あの広くはない北条地域にたくさんまだ残ってます。

佐伯)それを今、未来を担う子供たちが直に見て学べるって言うのはとっても素晴らしい機会ですね。

松井)そうですね、(北条の)河野小学校にとっては歩いて5分のとこにそういうため池があるというのはとてもいいと思います。

   

 


[ Playlist ]
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Mario Biondi & The High Five Quintet – On A Clear Day

Selected By Haruhiko Ohno


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