今週は「坂の上の雲ミュージアム」からの生放送。24日(土)に開催される「正岡子規祭2022 のぼさんぽ まち歩き~松山城編~」で俳句サポーターを務められる俳人の山澤香奈さん、のぼさん役の舞台俳優・渡部和也さんのお二人をゲストに迎え、イベントに先がけて“バーチャル吟行”に挑戦しました!


佐伯)さっき、この松山市一番町にあります、松山城の麓ですよね、このミュージアムの窓の所に黄色い蝶々が飛んできて、ひらひらと。「あれ、ちょっとこれ春なんじゃないの!?」なんていう話をしてたんですけど。俳句のこと考えてると、目に見えるものの季節感っていうことにちょっと敏感になるなあと思いながら話をさせて頂いていました。やっぱりこの俳句の中でもちろん欠かせないのが「季語」。

山澤)そうですね。

佐伯)ということになりますけれども、季語を知ってたり知らなかったり、そこが一つのハードルと思ってる方も、もしかしたらいらっしゃるかも…

山澤)そうですね、でも実は俳句の世界には便利な「歳時記」っていう季語を集めた本もありますので。私はだいたい文庫タイプのやつを常にカバンに…全部覚えられないので(笑)

佐伯)あら、山澤さんでも?

山澤)無理です無理です。

佐伯)俳句歴何年になるんですかね?

山澤)もう二十ウン年…ぐらいになるんですかね。

佐伯)でも覚えきれないくらい季語はある。

山澤)あるので、そういうものにも頼りながら、でもやっぱりそういうもの見ながら「これがそうだったんだ」っていうものに気づいていくと、「これも季語なんだ!あれも季語なんだ!」っていうのはすごく…なんだろう、日常生活を送っていても気づくようになります。

佐伯)そうなんですね。で、24日のイベントでは俳句もちょっと作るの挑戦してみませんかっていうことなんですけれども、じゃあ歳時記とか持って行った方がいいんですか?そこまで気にしなくてもいい?

山澤)そうですね、今回は気軽に参加してもらえたらなと思うので、今回はもう大丈夫です。

佐伯)大丈夫ですね!とはいえ松山城、自然豊かな場所です。自ずとそういう頭で行くと、「こんな花が咲いてる」とかいうことが…、今まで見過ごしてたものが気になるなんていうことはありそうですね。

山澤)そうですね、本当松山城って、やっぱりこう山の上にお城があるだけあって自然に囲まれていて、ちょっと歩いてるだけでも、本当さっきちょうちょがいましたし、「あ、あれが咲いてる」「あれは何だ?これは何だ?」みたいな感じで、すごく目に映るものをそういう視点で見ると「これも季語だったんだ、あれも季語だったんだ」みたいなのが感じられると思いますので。

佐伯)あ、昨日私気がついたことがあって、ふと空を眺めた時に雲の形が…

渡部)変わりますね、秋になるとね。

佐伯)そうなんですよ!うろこ雲っていうんですか、綺麗に出てて。あぁやっぱり、昨日ちょっと暑かったですけど秋なんだなあ、なんて。

山澤)そうですね、夏はやっぱり入道雲、もくもくして「雲の峰」とかっていう風に言われますけど、秋になったら今度はいわし雲とか、うろこ雲、という風になってきますので、雲一つにしてみてもやっぱり全然季節によって形が変わってきますね。

佐伯)この24日土曜日、その松山城の天守閣広場にはどんな雲があるのか。

山澤)そうですね。

佐伯)もしかしたら雲ひとつない…

山澤)「秋の空」が広がってるかもしれない。

佐伯)じゃぁ、季語をまず決めてそこから膨らましてとかってなってくると…

山澤)う~んと、ですね…そういう作り方ももちろんあるんです。ただ季語に囚われすぎてしまうと、季語季語季語季語~ってなってしまって、ちょっと難しくなってしまうこともあるので、今回参加頂いてチャレンジしてくださる皆様には、ちょっと違う、「季語ではないところから作ってみませんか」っていう作り方をご案内しようかなという風に思っています。

佐伯)そうなんですね。それはどういう?

山澤)そうですね、あの松山城登っていると、季語はもちろんたくさんあるんですけど、全然そうじゃなくて他にもいっぱいいろんな発見があると思うんです。歩いているだけで石段、それからお城の…なんでしょうね、一緒に登っていらっしゃる観光客の方もいらっしゃるでしょうし…

佐伯)あ、私この間松山城に行った時に、石垣のところの裏手というか奥から猫ちゃんがピューって出てきまして…

渡部)いますね、猫ちゃんね。

佐伯)そう、よく居る猫ちゃんらしいんですよ。だからそんなとこに猫ちゃんいるんだなぁなんていう発見がありましたが、それもまた句になったり?

山澤)なります!例えば…季語は置いときますね。例えば石垣から猫が飛び出してきた…「石垣を 猫飛び出した」、ここまで行ったらあとは季語を連れてきてあげたらいいので。

佐伯)季語を連れてくる?!

山澤)連れてくるっていう表現したんですけども、「石垣を 猫飛び出した」例えばそこに「秋の昼」っていう風に入れてみたらどうでしょう?

佐伯)俳句になった!

山澤)はい、なりました!

佐伯)え、え、「石垣を 猫飛び出した」ってそのままですよね、見たまま。

山澤)それが秋の昼のちょっと気持ちのいい…

渡部)気持ちのいい感じがしますね、秋の昼って。

佐伯)爽やかな清々しい感じ。

山澤)「秋の風」でもいいかもしれないです。猫が飛び出してきた勢いみたいな…

渡部)スピード感がちょっと感じられますね。

佐伯)確かに!風の方がね。なるほど!

山澤)という風に、季語じゃなくって何か発見したものからどんどん俳句を作ってみませんかっていう。

佐伯)そういう作り方ができるんですね!

山澤)これもちゃんとした作り方の一つではあるんですけれども。

佐伯)へ~、面白そう!じゃぁ、このイベントでも「季語を見つけるぞ」っていうんじゃなくって、そうじゃないものでも何でも気がついたものをメモして。

山澤)メモしてもらって、のぼさんと一緒に歩きながら、のぼさんと松山城を一緒に見ながら、「あんなところにあれがあるね」「こんなところにこれがあるね」っていうのをどんどんメモして行ってもらうだけで、きっと俳句ができていく。

渡部)さっきなんかだと「石垣の」っていう割と集中した石垣の隙間を見ますけども、松山城ってさっき言った上からバッと眺望することもできるし、下から天守閣を見上げたりだとかそういう広い映像もとれるし、もしくは小さい草花があったりだとか石垣だったりだとかそういう集中したピントを絞ったそういう映像も作れるので、割と宝庫ですよね、気づこうって思うと。

佐伯)じゃ、まずは発見しましょうっていうことですね。

渡部)常にアンテナを張っている感じですよね、いつものお散歩と比べると。

佐伯)はいはい、そうするといつも歩いてる、何回も歩いてる所でも「こんなもんあったんだ」っていうのを見つけられて、もうそれだけでちょっと楽しそう!

山澤)楽しいと思います(笑)

渡部)それがもう全ての正解だと思います(笑)


[ Playlist ]
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Selected By Haruhiko Ohno


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