今週は「坂の上の雲ミュージアム」からの生放送。現在開催中の開館15周年記念特別展示『柳生悦子「坂の上の雲」衣装原画展』について、学芸員の上田一樹さんに見どころなどを紹介して頂きました。これはスペシャルドラマ「坂の上の雲」の衣装原画ということで、ファッションデザイナーのデザイン画のようなものをイメージしていたのですが、全く違っていました!ドラマのシーンごとに人物の表情や立ち姿、小道具の数々、着こなしの注意などまでが細かく記されていて、一枚一枚に込められた情報量が凄いんです。このような原画展は初の試みということで、貴重な機会となっています。この原画展と、同じく開催中の企画展「『坂の上の雲』にみる日本海海戦 運命の海」を見ると、一層楽しめますよ。


佐伯)秋山好古に続いて、今度は弟の秋山真之のコーナーについて教えてください。

上田)真之のコーナーは「原画でたどる秋山真之~海軍での足跡~」というタイトルです。まずコーナーの前半では、海軍兵学校時代からアメリカに留学するまでの衣装の原画を展示しています。真之の年齢で言うと19歳から32歳頃ですね。当然十代の後半からの少年らしさを残した海軍兵学校での姿ですとか、海軍の通常服とか夏服と外套=コート姿ですね、そういった場面に合わせて様々な軍服を着ている青年時代の真之というのを見ることができます。

佐伯)青年時代ということで、非常にあのなんかこうシュッとしてる真之さんのイメージですよね。こちらの原画展、原画はスペシャルドラマ「坂の上の雲」の衣装原画ということで、その真之さん、あのドラマの中でのイメージとしてですね、ドラマのポスターで本木雅弘さんが着用している白い軍服をイメージされる方も多いと思うんですが、あの軍服に関する原画、あの時のっていうのもあるんですか?

上田)そうですね、あの白い服を着た立ち姿、全身のですね、を描いてる柳生さんの原画を今2階のホールに展示をしてますので、「あのポスターのこの軍服が、元はこの原画なんだ!」っていうのが見ていただけるかなと思います。

佐伯)だから、それがどれなのか、是非ね、見つけていただきたいと思います。あと真之でちょっと不思議に思ったのが、何て言うんでしょうか一番上の上着まで来ているものだけではなくって、それのそばにですね、中に着てるシャツとズボン姿だったりとか下着姿だったりとか、最終的にはふんどし一枚の絵まで出てきて、「ふんどしもデザインするの?原画があるの?」なんてちょっと思っちゃったんですけど(笑)ふんどしの場面も確かドラマの中にはありましたけどね。

上田)そうですね、写真館で先輩の広瀬武夫と一緒に写真を撮るっていう場面がドラマの中に出てきたんで、ふんどしの原画なんかもそこでの参考で描かれたのかなっていう風にも…

佐伯)だけどふんどしって、まあ言ったら布一枚じゃないですか。なのに原画があるんだなーと思って。

上田)原画もちょうど裸の部分にふんどしっていう風に書いてるので、衣装原画ではあるんですけど裸の部分のほうが多いっていう(笑)

佐伯)確かに!確かにそうですよね(笑)はい、だからそれがまた並べて描かれてあるので、もしかしてこれ一番上にの上着とズボンの下にも、ある程度はそれに即したしっかり当時のままのシャツであったりとか肌着、ふんどしまで着けて着ていたかどうか定かではありませんが…なんていう想像が膨らむというかね。あと今お話に出てきました、その広瀬に関する資料も展示されてますよね。

上田)そうですね、真之のコーナーのもう一つの見どころと言いますか、この真之と親交があった海軍の先輩・広瀬武夫ですね、その原画も一緒に展示しています。

佐伯)この広瀬という人物にはファンもすごく多いと聞いてます。

上田)そうですね、やっぱり広瀬は日露戦争で亡くなる、戦死してしまうんですけど、小説の中でけっこう重要人物の一人として登場する場面が非常に多いので、秋山兄弟に次ぐぐらいですね、原画の数っていうのも多いんです。

佐伯)そうなんですか!へ~。

上田)なので、その原画を見ていただいて、あとその原画の近くにですね、真之が広瀬に宛てた手紙のレプリカですとか、廣瀬が親戚に書いた手紙のレプリカなんかも展示してますので。

佐伯)あ、ありました。ちょっと意外だったのが、その広瀬という人物って私の中ではものすごくこう…なんていうか男性の厳ついっていうかごっつい人みたいなイメージがあったんですけど、その手紙のレプリカを見ると文字が相当可愛らしいんですよね!こんな言い方したら怒られるかもしれませんけど、何て言うんだろう、なんかこう軍人の無骨な文字というよりは女性らしさを感じるほどの本当に可愛いフォントっていうか(笑)

上田)何かゴシック体みたいな、そんな感じの字を書かれますよね。

佐伯)そうそう。比較するのにちょうどいいのが見つからないですけど、例えばその相田みつをさんだったりとかああいう文字がひとつのデザインみたいになて人気のある方もおられますけど、それに近いような。「あ、こんな字書かれるんだ!」と思って、すごく意外な感じがしましたね。で、その隣に真之の手紙のレプリカがあって。真之の字はまた全然違うんですよね。

上田)そうですね、癖のある字ですけど、けっこうかっちりしてると言うか流麗と言いますか、そういう…。

佐伯)私と一緒に見ていたディレクターが「でも真っ直ぐ書いてました、真っ直ぐ!」って言ってました。まあ字はね、人を表すなんて言いますから、そう思いながらこの原画の数々と手紙っていうのも見てみると楽しめるかもしれません。


[ Playlist ]
Jose Gonzalez – Heartbeats
Melissa Manchester – Bad Weather
Tender Leaf – Countryside Beauty
The Little Willies – Roll On
Madeleine Peyroux – I’m All Right

Selected By Haruhiko Ohno


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