今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、株式会社ウエルスジャパン代表取締役の渡部紳一郎さん。実は今月「ヒルナンデス」で紹介された商品「魔法のまな板」を開発するなど、様々な生活雑貨を独自に開発して特許を取り販売されている「発明家」なんです。「不便がアイデアを生み出す」「特許」「クラウドファンディング」をキーワードに、商品開発の裏側について伺いました!


佐伯)一つ目のテーマ「不便がアイデアを生み出す」。これって良く言われることですけれども、それが発明に繋がらないんですよね、私たち普通の人は。渡辺さんの場合はどういう風に、ちょっと普通の人とは違うんでしょうか?

渡部)たぶん皆さんね、その不便を当たり前と思ってるんですよ。「使いづらいなー」っていう、それで終わってしまうケースが、ま、私もありますけど、本当はそこがヒントなんでね。そこで気づければいいけど、なかなか…「使いづらいな」で終わっちゃうんですよ。

佐伯)そこを当たり前と思わない。

渡部)そうですね。

佐伯)何とかならんかなと。

渡部)そうそう、そうですそうです。何とかしたいなっていう…

佐伯)他にも、そういうことのために研究してることとかもあるんですか?勉強されてるとか。渡部)あとは情報番組が結構あるんで、それも全部録画してるんですよ。

佐伯)え?全部?

渡部)全部ですね。

佐伯)相当あるでしょう?

渡部)ありますね。「ヒルナンデス」もヒット商品が出るんで。それを毎週土曜日に全部チェックして。

佐伯)どのくらい時間かかります、見るの?

渡部)早回しにして見てるんで、でもやっぱり6~7時間かかりますよ。

佐伯)うわ~、そうですか。

渡部)でも、楽しいですよ、新商品いっぱい見れるんで。

佐伯)「あ~、その手があったか!」みたいな発見もよくあります?

渡部)そうですね、悔しいのもありますけど。

佐伯)へ~。

渡部)「頭いいなあ!」っていう。

佐伯)「頭いい!」(笑)。なんかこれもキーワードになりそうな気がしますけど。あと、こういう商品を私たちが手に取ろうと思うと、やっぱりホームセンターですとかバラエティグッズのショップとか行きますけれども、そういうところにも足を運ばれることありますか?

渡部)月に1回ぐらいホームセンター行くんですけど、そこで予定ないんですけど、ホームセンターに棚がたぶん上下4段ぐらいあるんですけど、その商品を全部手に取るんですよ、全ての商品を。

佐伯)全部!?

渡部)全部ですね、関係なく。で、たぶん2~3時間かかるんですよ。そうやってやってると、遠くで店員さんがこっち見てるんです。よくあるんですけど、「怪しいな」っていう。

佐伯)怪しい(笑)

渡部)だからそれで一番最後に何か買って出るんですけど。そうするとなんか引っかかるところがあるんですよ。それが後々の発明の時になんか絡んでくるんで。

佐伯)手に取ったっていうのは、何を感じてらっしゃるんですか?

渡部)ただその形全体とか、どういう部品とかっていう、ただそれをずっと見てるんです。

佐伯)全商品?

渡部)全商品ですね。以前もフックを作って、それアマゾンで1位取ったんですけど、それも考える時に東急ハンズ松山店に行って、フックのコーナーって幅が60センチもないんです。そこで1時間ちょっと、ずっとフックを見てて。

佐伯)全種類のフックを手に取ってた。

渡部)そんなに種類ないんですよ。そこに1時間半立ってるんですよ。

佐伯)ほえ~。

渡部)気がついたら店員さんがこっちを見てるんですよ、二人立って。

佐伯)かなり不審ですね。

渡部)不審なんですよ。60センチの幅に1時間半立ってるんで。

佐伯)そうですよね(笑)

渡部)それで「あ!」って気がついて、マネージャーの名前出して、「メーカーのウエルスジャパンです」って。で、マネージャーが来て、「モニター見ながら変な人がいるって言ってたら、渡部さんですか!」って言われて。「何してんですか」って言われて、「いや、次フックを発明しようと思ってる」って言うと、「あ~、わかりました」って言われたんですけど。それでフックを発明したんで。やっぱりアイデアが欲しいんですね、気づきたいですね。

佐伯)そうですか、気づきを求めて色んな努力もなさっているということなんですけれども。

(中略)

佐伯)で渡辺さん、そのアイデアが思いついたらまず何をしたらいいんですか?

渡部)今ホームページで特許情報プラットフォームってあるんです。こちらは特許とか実用新案とか意匠とか、意匠=デザインですね、商標とか、それが簡単に見れるんですよ。私もこれを最初に調べて、他の方がそういうの作ってないか、考案してないか、それをまず調べます。

佐伯)既に他の方がもう取ってたら、いくらこれから研究してもいけないですもんね。

渡部)無駄ですね。訴えられちゃいますね。

佐伯)そっか(笑)じゃ、まず「これいけるんじゃないか」と思ったら、それが特許等々何か権利を取られてないかを調べる。

渡部)そうです、はい。

佐伯)それからどうしたらいいんですか?

渡部)それでなければ、今度は特許事務所に行って調べてもらうんです。

佐伯)は~。じゃ、下調べをして、次に特許事務所というところに。えっと愛媛県内だったらどこにあるんですか?

渡部)何か所かあります、弁理士さんの事務所なんで。松山市内に10カ所以上あると思います。

佐伯)そんなにあるんですね。じゃあ、その特許事務所、弁理士さんっていう方の事務所が特許事務所も兼ねてるっていうことなんですか?

渡部)特許を管理するのは弁理士さんなんです。

佐伯)あー、なのでそこが特許事務所になってる。

渡部)皆さん弁理士さんをご存知ないんですけど、弁理士さんっていうのは今あの弁護士さんより難しいですから。

佐伯)あ、そうなんですか?

渡部)そうなんですよ。

佐伯)弁理士さんていう資格がある?

渡部)あります、弁理士さんっていう資格があります。

佐伯)国家資格?

渡部)国家資格です、弁護士さんより難しい。

佐伯)そういう方の事務所が松山市内でも十何か所あるので、そこに行って正式に調べて…

渡部)先願調査をして頂いて。私の行ってるところは、1件の調査がだいたい5000円なんで。

佐伯)あ、そのぐらいの…

渡部)そうなんです。

佐伯)そんな何万とか何十万もかかる調査ではないんですね。

渡部)かかんないです。私の行ってるところは1件5000円ですね。

佐伯)で、「OK!どこも取ってないよ」となったら、どうするんでしょう?

渡部)次は自分で試作品を作ってみるっていうことですね。

佐伯)これがなかなかじゃないですか?

渡部)いや、試作品はまず絵を描いてみて、それで試作品を作ってみてっていう…物は形にしてみないと分からないんで。それは楽しいですけど。たぶん皆さん自分である発想が出来て、「こんなもん作りたいな」と思ったら、試作品を作るのはすごい楽しいはずなんで。

佐伯)試作品って、こう…工作レベルのもので大丈夫なんですか?

渡部)で、いいんです。

 


[ Playlist ]
Sharon Jones & The Dap-Kings – How Long Do I Have To Wait For You
Keller Williams – Love Handles
Sly & The Family Stone – Hot Fun In The Summertime
Mike D’Abo – Handbags And Gladrags

Selected By Haruhiko Ohno


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