今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、「四国西予ジオミュージアム」館長の高橋司さん。ミュージアムは四国西予ジオパークの拠点施設として4月にオープンしたばかりです。と聞くと、地層とか岩石とか地質学的なものが展示対象なのかと思いきや、それだけではないのです!ジオパーク認定のために大切な条件の一つが、そこに人の暮らしがあること。では、このミュージアムの特長とはどんなところにあるのか、高橋さんが熱っぽく語ってくれました。


 

    

佐伯)「自然」と言うと、愛媛はも海もあるし山もあるしというところですが、西予のジオっていうのはどんな特長があるんでしょうか?

高橋)西予市は直線距離で東西にだいたい50 km、南北10 km なんですよ。で、3つ、ちょっと特長的に言わせていただきますと、まず一つはですね、地質の多様性があるんですね。というのがこれ、日本列島になるよりもっと古いですね、大地の変動を表すような地層が東西に並んでまして、中には4億年以上前の、まあこれは日本では最古級の岩石・地層も顔を覗かせてるんです。で、そういう古いのがあるかと思えば、けっこう最近できているようなですね、ちょっと変わった石灰成分が固まるような石が沢にどんどん出来てたりするような場所もあったりして、いろんな時代のものがあってですね、実に多様性があります。
もう一つはですね、地形もかなりバラエティに富んでるんですよね。海岸沿いはリアス海岸と言いまして、出入りの激しい地形。で、裏には山が迫り、海に入ると急に深くなるというような特徴を持つリアス海岸ですね。があると思えば、西予市の中心部の宇和は盆地なんですね。

佐伯)そうですね。

高橋)ただ盆地と言ってもですね、標高が200 m ぐらいあるところの盆地です。で、お隣にも大洲市さんの盆地があるんですけども、大洲盆地は多分20mぐらいですので。

佐伯)だいぶん標高差が。

高橋)はい、かなりあります。で、これは少し宇和の盆地のでき方に特徴がありまして。もともと川が流れる谷があったんですけども、それがおそらく大きな地震かなんかで出口が塞がれましてですね、で大きな湖ができたんですよね、今の宇和盆地になるとこが。どうしてそういうのが分かるかと言いますと、ボーリング調査をするとずっと堆積物が100 m ぐらい出てくる、あるんですけど、そこに泥とか砂とかですね。で九州で火山が噴火すると火山灰なんかも何枚も挟まれてるんですよ。ですからそういうのかですね、流されずにずっと溜まってる、非常に変わった盆地なんですけれども。まあ肱川の源流にも近いですし。ですからそういう標高の高い所の盆地があると思ったら、例えば野村とかですね、というところは河成段丘、あの河岸段丘というのをよく聞かれるかもしれませんが、階段状になった地形があるんですよね。これは第一が上昇、隆起と言いますけれども上がってきて川をどんどん削っていきます。で、大雨が降ると川が氾濫するんで平たいところができます。それがどんどん上昇してくるんで、その繰り返しで階段状に農地というか集落があったりするんですよね。そういう地形があったり、もうちょっと四国カルストの方へ向かうとですね、V 字谷と言いましてですね、谷がV字型になってるところがあるんですよ。で、一番東の方へ行くと四国カルストがありまして、カルスト地形。ですから地形的にもですね、非常にバラエティに富んでるというとこなんですよね。

佐伯)本当に!もうなんかこれ、タモリさんがいらっしゃったら大興奮みたいな感じがしますけどね(笑)

高橋)そうですね(笑)。西予市は「海抜ゼロから1400 m」 というのが売りなんですけれども、これ全国から見ると「海抜ゼロから2000m」とか「3000m」とかいう山があるとこは、「0から3000」とかありますよね。ただ、うちが1400 m の売りというのは、うちで一番高いところが大野ヶ原の高いところ、標高が1400 m なんですけれども、そこまでですね、夏になると牛が放牧されてまして、標高1100ぐらいの所には集落があり小学校もある。ですから0から1400 m まで「人の暮らしがある」というのが一番の売りなんです。

佐伯)なるほど、これは他にはない特長なんですか!ジオパークのいうところの「大地と人の暮らしが深く結びついてる」ってことですね。

高橋)特に大野ヶ原はそう思います。あそこがですね、年の平均気温が8.1°cなんですよ。で札幌がですね、8.7か8か…

佐伯)えっ、そうなんですか!!意外!

高橋)でしょう。で、やっぱり冬になると雪が1 m とか積もること珍しくありませんし、小学校はかなり全国でも標高の高いとこにある小学校なんですけれども、毎年南海放送さんでも取り上げていただきますが夏休みはちょっと短くて、冬休み長いですよね。「大野ヶ原小学校、きょうから2学期です」とかって、ああいう本当に人の暮らしがあるところでそういう標高の高い所であると。片や海沿いのリアス海岸沿いでは、あんまり霜も降りないよと。雪がちょっと降ったら珍しいみたいなところが、一つの自治体の中にあるわけですよね。

佐伯)確かに。

高橋)ですから、そこらへんをやっぱし是非紹介をしたいなという風に思ってます。

佐伯)色々な発見ができそうですね、これはミュージアムに行くと。

高橋)すいません、これ途中で話が変わって申し訳ない(笑)西予の特長でしたよね。これがまあ二つ目の特長で、三つ目がですね、やっぱ人の暮らしというか文化もかなりバラエティに富んでるんですよね。これはやっぱり地形がこう色々複雑ですので、なかなか昔は人の行き来がですね、できにくかったんですよね。歩いて隣の集落に行くにも一回谷まで下りて、また登ってとか。ですから割と地区地区で固有の文化が残ってたりしまして、それも文化の多様性と言いますか。お祭りなんかもですね、南予は鹿踊りが結構ありますけれども、西予市は八つ鹿踊り、七つ鹿踊り、六つ鹿踊り、五つ鹿踊り、そんなにあるんですよ。

佐伯)えー、そうなんですか!

高橋)ですから、お祭りなんかもかなりバラエティに富んでまして、特に山のお祭りと海の祭りまた全然違ったりして。ですからそういう風にジオの多様性、文化の多様性、そういう多様性をですね、売りにしてる特長あるジオパークです。

   

 


[ Playlist ]
Bonnie Raitt – Papa Come Quick (Jody And Chico)
Roy Ayers – Love From The Sun
Niteflyte – If You Want It
Oasis – Songbird

Selected By Haruhiko Ohno


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