今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、株式会社KIRIの高橋大希さん。社名には、日本の伝統的な工具「錐(きり)」のように、最初は小さな穴を大きく広げていくというコンセプトが込められています。その事業の一つが農業に特化したアプリ「AIagri.」(アイアグリ)。2020年にスタートさせたきっかけは、高橋さんが学生時代に起きた西日本豪雨。ボランティアとして訪れた宇和島の農家さんとの出会いから、労働力のマッチングに注目したんだそうです。


 

  

佐伯)実際にその仕組みを作ってみました、これがさっき LINE を使ってっていうお話ありましたけれども簡単に言うとどういう形だったんですか?

高橋)そうですね、まあ特徴としてはアルバイトさんからすると仕事の検索から応募まで全てLINE上で完結しますよと。明日バイトですよとかそういうのも全部 LINE で届くんですけれども。また大きな特徴の一つとしては単発短期の、最短で1日から働くことができる。これはやっぱりなかなか普通の飲食店のアルバイトとかだとできないと思うんですけれども、農業に携わること、関係することがなかった人に経験して欲しいって思いから。農家さんも「1日だけのやつが来て大丈夫かいな?」ってのはおっしゃられるんですけれども、1回試してみてくださいよっていうので、短期の1日から参加することができる、そういったところが非常に大きな特徴かなと思います。

佐伯)じゃあLINE を通じて会員登録?みたいな感じにすると情報が流れてくるみたいなことですか?

高橋)そうですね、僕らの公式 LINE があって、そこに友達追加していただけると普通に情報が届いて、応募する時とか別途僕らのサイトへの会員登録が必要にはなるんですけど。

佐伯)そういう形なんですね。

高橋)はい、非常に簡単ですね。

佐伯)でも学生さんだけではなくて、さっきおっしゃった「この日だけでも」っていう形ですと、社会人の方ですとか主婦の方ですと、かいろんな方に間口広がりますね。

高橋)そうですね、やっぱり当初僕が学生の時に着想を得た事業アイデアだったので、僕自身が使いたいじゃないですけども、やっぱり学生ってそういう平日にぽこっと暇な日があったり土日が暇だったりするので、そういう方がメインターゲットではあったんですけれども、中予地区で事業をどんどん展開していく中で、広くですね、新居浜・東予地区であったり南予エリアといったところでも農家さんが使ってみたいというお声を頂いたので、実際サービスを開始してみると、当然南予・東予は大学ないので、「本当に誰か行くのかな」と思ってサービスを展開してみると、それこそ子育てをしていてなかなかレギュラーのお仕事は難しいけど時々だったら子供預けて行けるよっていうような主婦の方であったり、自営業をやってらっしゃって休みがイレギュラーな、「急に明日休みになったけど、でもどっかで働いてお金稼ぎたいな」っていう方が、なかなか他で仕事見つけるの難しいけど「AIagri.」ならすぐに応募してすぐに働けるからって言うので、自営業でやってらっしゃる方の急なお休みの時とかで使っていただけるっていう。様々な方が今使って頂いてるかなと思いますね。

佐伯)土日だけでもいいんだったらみたいなサラリーマンの副業の方とかね、色々あると思うんですけれども、じゃあ思ったよりも応募してくる方もジャンルも色々だったっていう感じですか?

高橋)それこそ LINE っていうアプリがそもそも本当に今たくさんの方々が使って頂いてるので。弊社のサービス LINE が使えないと使えないは使えないんですけど、上は今たぶん八十歳ぐらいの方まで使って頂いていて…

佐伯)え~!!

高橋)力がいらなくてすごく地道な作業が必要な農作業もあるので、そういったお仕事に応募されて、「いろんなお仕事ができて楽しいです」っていうお声を。そういったアクティブシニアっていうんですかね、そういう方もからもそういったお声をいただいておりますね。

佐伯)そうなんですか。一方の農家さん側の反応はいかがでしょうか?

高橋)そうですねやっぱりこういうアルバイトのマッチングサービス的なサービスっていうのはあるのはあるんですけれども、弊社の大きな一つの特徴として、先ほど話しさせて頂いたインターネットが使えない方に届けたいって思いがど真ん中にあるので、インターネットが使えない農家さん。なので電話や FAX 等で求人情報を頂戴するんですけれども、今までインターネットのサービスとかって聞くともう「わしらに関係ない!」と思ったけど…

佐伯)もう、その時点で。

高橋)だけど「AIagri.」は電話やFAXだけでも使えるからすごくありがたいよっていうお話だったりとか、それこそ1日から来るからすごく不安だったけど、結構みんなちゃんと働いてくれるし、やっぱり長く農業続けてると毎年同じような…同じようなと言うか同じ人。関係性もできるので近所の方とかで来るんですけれども、「AIagri.」使うと本当にいろんな人が来るので、農作業しながらするおしゃべりとかがすごく楽しくなったよってお声をいただいたりしますね。

佐伯)そうか、ネットを使ったサービスが色々あってもネットにちょっと手を出せないなーって思ってらっしゃる高齢の農家さんだったりとかまでサービスを利用できるって言うところは嬉しいですよね。

高橋)そうですね、もう本当にも今もたぶん約1/3から半数ぐらいがインターネットが使えない農家さんなので。

佐伯)そうなんですか!そういうところに目を付けられたっていうのも良かったのかもしれませんね。

高橋)そうですね、まあ目をつけたというよりは、たまたま宇和島で出会いがあったので。

 

 


[ Playlist ]
Belle & Sebastian – Asleep On A Sunbeam
Björk Gudmundsdóttir & Trió Gudmundar Ingólfssonar – Tondeleyo
Beth Orton – Love Like Laughter

Selected By Haruhiko Ohno


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