今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、愛媛県産業技術研究所技術開発部副部長の大塚和弘さん。めざましい進歩を続ける通信の世界。5Gってよく耳にしますが、それって一体何なのか、どんなことが出来るようになるのか?最先端の5G事情について教えていただきました!
佐伯)10年おきに技術革新が起こって新しい世代になってきたっていう感じなんですけれども、じゃあ1G時代から見たら、もう今あの未来小説みたいな世界になってません?
大塚)そうですね(笑)、1G時代はアナログで、2Gからデジタルってことになりますけども、比較ができるそのデジタル通信が始まった2G時代から考えてもですね、最大の通信
速度は、この30年間でだいたい10万倍と。
佐伯)10万倍!
大塚)ちょっと想像つかないですよね。
佐伯)はー、そうですか。でも、その5Gでこれから…先ほど社会インフラを支えるという風にもおっしゃいましたけれども、どういったことが具体的に期待されてるんですか?
大塚)はい。5G っていうのはですね、様々な分野での用途ってのが期待されてるんですけども、例えば産業分野であれば、その超低遅延といった特徴を活かしながら、ロボットなどの精密機器の遠隔での操作、それから自動運転なども期待されますね。
佐伯)あれも5Gが関わってるんですね!
大塚)関わってくると思います。ですので最近よく聞きますけど「スマートファクトリー」とか「スマート農業」…
佐伯)その「スマート」ってどういう意味合いで使われてるんですかね?
大塚)どうですかね、「スマートファクトリー」「スマート農業」ですから何でしょうね、デジタル技術をフル活用して非常にその効率よく、しかもその使いやすいような、まあそういうファクトリー=工場とか、そういう技術を活用した農業とか、まあそういうことかなと思いますけど。
佐伯)例えば…イメージですよ、「スマート農業」だと実際に例えばビニールハウスの中に出向かなくても、そこに置いてあるスプリンクラーなどを遠隔で操作して時間が来たらちゃんと水遣りをしてくれるとか、何かそういったようなことがもっともっと進化していくっていうようなイメージでしょうか?
大塚)まあそういうところが進化していく、乃至は何でしょうね、中の温度を測りながら「そろそろ温度が低くなってきたから、ちょっと暖房入れなきゃいけないな」と、その制御もですね、自動でできるような。常にデータを取りながら、そこらへんには AI とかですね、人工知能ってのもつながってくのかもしれませんけども。そこらへんも活用しながらの農業っていうのもアリかもしれませんね。
佐伯)体力的にも時間的にも大変な作業って思われていたものが、もっと違う捉え方ができる産業になっていくという可能性があるんですね。
大塚)収穫する機械とかですね、そういうのも5Gを使えばすぐに繋がるわけですから、自動での収穫ロボットとかのそういう制御にもですね、使えるかもしれませんね。
佐伯)なるほど。それが産業分野での期待。他の分野ではどうでしょうか?
大塚)そうですね、医療分野っていうことになると、今度は先ほどの超高速って言ったような特徴を活かしながら、遠隔診療の支援、ケアサポート。それからですね、今後っていうことになるかもしれませんけども、手術用のロボットでの手術とかですね、そういうものを遠隔で操作してやっていけると。
佐伯)え?松山のお医者さんが松山に居ながらにして、例えば今治の病院で遠隔でロボットを操作して手術なんて事が…
大塚)将来的には可能性ありかなって。
佐伯)うわ~、そうなんですか!
大塚)もちろん超高速っていう特徴も使ってですね、精細な非常に高解像度の映像を見ながら、先ほど言われてた松山のお医者さんが今治の病院の患者さんの診察をできると。そして、なんか手術をしなきゃいけない、処置をしなきゃいけないというのも、きちんとした映像が見れないと間違って切ってしまうようなことは困りますのでね。
佐伯)そうですよね。しかも遅延がない状態じゃないと、例えば松山のお医者さんがどこか切るという作業をした時に誤って血管を傷つけてしまって血が出ました、でもそれが確認できるのは10秒後ですなんてことになったら大変なことですもんね。それが低遅延であれば、もう遅れなく…
大塚)リアルタイムで対応できると。
佐伯)は~、すごい!あと私たちの身近なところではどうでしょうか?
大塚)そうですね、身近なエンターテインメントなどの分野ですと、超高速といった特徴を活かしながら、よりきめ細かな、そしてより臨場感高いライブ映像ですね。このライブ中継などが期待されるところですね。例えば、スタジアム開催でのスポーツ観戦。実際にですね、遠隔応援みたいな形で、臨場感を味わいながらもう目の前にいる風景を応援できる。それから、あとコンサートに、そこの場にいないんだけどもコンサートに参加してみるような体験ができるような。まぁそういったことも期待できますし、他にも、博物館のバーチャルツアー体験とかどうですかね。よく仮想現実っていうVRとか、あと拡張現実っていうARとかいう技術、よく言われてますけども、こちらを活用しながらですね、目の前に物があるかのような状態で、博物館を見て回ると。そういうバーチャルツアー体験とかですね、そういったものを体験できるのにも期待できるかなと思います。
佐伯)そうですか!じゃ、本当に暮らしも豊かになるし、産業も発展するし、なんだかいいことづくめですね(笑)
大塚)そうですね、いいことが起こるといいなと思います(笑)
[ Playlist ]
Bill Withers – Lovely Day
Sim Redmond Band – Life is Water
Tracey Thorn – Femme Fatale
Ken Boothe – My Love
Selected By Haruhiko Ohno