今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、新居浜で「からだ経営塾」を主宰されている中野恵子さん。中野さんは「和漢薬膳食医特級」という一般社団法人和漢薬膳食医学会認定のライセンスを愛媛で初めて取得され、日本人の体質と味覚に合った新しい薬膳「和漢膳」を伝えておられます。コロナ禍で体調管理に今まで以上に気を遣う方が増えている今、その基本となる「食」について、薬膳の見地から色々お話を伺いました!
佐伯)漢方もそうなんですけれども、どうしても薬膳料理って言うと何か特別な食材、特別な…なんかこう匂いがするようなものとかを使わないといけないんじゃないかなという、どうしても刷り込みがあるんですけれども。でも中野さんのお話聞くと「そうじゃないんだよ」ってことですよね?
中野)そうですね、やっぱり匂いに行きますか(笑)。
佐伯)身近なものも「実はこれなんかも漢方なのよ」っていうのあります?
中野)そうですね、今の時期で言うと、さっき言った花粉症つらいよとか、今やっぱり去年からずっとコロナ、コロナって言われて免疫力って言われてますよね。それもただ一つ簡単、簡単て言うといけないのかもしれないけど、共通してやってほしいことがあるんですね。それは体を温めるっていうことなんですよ。体温をあげていくっていうこと。
佐伯)はいはい。
中野)これ言うとね、今体温計でどこでも測れるから「体温上がっとったらやばいやん」って言われるんだけど、それじゃないんですよね。基礎体温を、平熱を上げるっていうことなので、大体理想は腋下=腋の下で測って36.5 度以上あれば体の中は37°ぐらいあるので一番健康な、体が正常に動く体温って言われてます。
佐伯)そうですか。
中野)そのためにも生姜、転がってますよねスーパーに(笑)。
佐伯)転がってる!?どこでも手に入りますよね。
中野)で、にんにく、ねぎ、玉ねぎ、人参、かぼちゃ。
佐伯)え?それらも、薬膳とか漢方と言うか、に活かされるんですか?
中野)はい。これらをベースにお料理を作りましょうっていう。
佐伯)それでいいんですか?
中野)はい!これが薬膳的なものの見方なんですよ。
佐伯)なんか名前もわからないような、スパイスみたいな…
中野)タツノオトシゴみたいなのとか、なんか干からびたものとか?
佐伯)じゃなくていいんですね。
中野)いいんです!だから、スーパーで手に入れられるもの、この時期だったら唐辛子とかでカプサイシンで体を熱くするとか、そういうようなことでいいんですよ。最初に言ってくれましたよね、「医食同源」「薬食同源」。これは、食べるものは薬であり、同じですよって。食べ物もお薬も一緒ですよっていう考え方なので、それぞれの効能を生かして、この時期だったら体をあっためて欲しいので夏よりも生姜とかにんにくをたくさん使いましょう、その代わり体を冷やすもの…ざっくり言うと南の国、あったかいところで採れるものは、あったかいところだから体を冷やしてほしいので体を冷やす効能があります。なのでパイナップルとバナナとか、甘くておいしいフルーツは、マンゴーとか、わざわざ高いこの時期に買わなくても、それを食べると体が冷えますよっていうのね。(食べるなら)さっき言ったリンゴとかね。
佐伯)リンゴはいいんですか?あ、そっか。寒い涼しいとこでできるからですね。
中野)だから体をあっためてくれる。ざっくり考えると簡単でしょ。
佐伯)本当に。分かりやすいですね。
中野)これが旬っていうものなんですよ。旬の野菜。秋から冬にできるものは体をメンテナンスするために今食べてくださいって。野菜も果物も「今が旬です、今食べると体が元気になるから食べて」ってできるんです。春から夏にかけたら体を冷やしてあげようねって出てくるのがスイカだったりトマトだったりキュウリだったり。それを、一年中並んでるのをわざわざ買って帰って、すぐ食べない時はどこに置きます?
佐伯)冷蔵庫。
中野)冷蔵庫めちゃめちゃ冷えるでしょ。冷える食材をキンキンに冷やして、ダイエットだからってサラダにする。体冷えまくると体が燃えないので脂肪がついていきます。ダイエットにならないんです。
佐伯)じゃあ反対のことをしている。
中野)そんな時は温野菜。根野菜を蒸して温野菜にして食べると代謝が上がるので、体はいらないものを外に出してくれる。こういう考え方が薬膳的考え方です。
佐伯)それをベースにお料理に取り入れていけば…
中野)そうです。
佐伯)これは本当に分かりやすくて。
中野)毎日続くでしょう。
佐伯)じゃ、知らない間にやってるって言う方も多い?
中野)だから昔から、お母さんから受け継いだ家庭の味とか、その時に食べてた旬のものとか。で、付け合わせ方だとか。焼き魚に大根おろしとか、そういうふうなのも全部薬膳的な組み合わせなんです。基本さえ押さえてもらっていると、皆さん誰でも簡単に「置き換える」っていう作業でできるので、この時期に冷たいレタスきゅうりトマトとかを盛んに食べてた人は、それ止めて、あったかい温野菜のサラダにするとか。そういうものに旬の野菜を取り入れる。ただそれだけで体は変わってきます。
[ Playlist ]
Elizabeth Shepherd – What Else
矢野顕子 – 電話線
Acid House Kings – Would you say stop
Ella Fitzgerald & Louis Armstrong – I’ve Got My Love to Keep Me Warm
Selected By Haruhiko Ohno