今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、松山市民病院泌尿器科医師の佐伯佳央里さん。男性のがん罹患率第一位は前立腺がんであることを、あなたはご存じですか?一方で前立腺がんは生存率も第一位で、早期発見で生存率が非常に高いことも特徴です。松山市民病院では去年内視鏡手術を支援するロボットを導入し、前立腺がんの治療にあたっています。今回は「泌尿器科から見た最先端医療」をテーマに、「手術支援ロボット」「PSA検査」「広がる選択肢と骨盤底筋体操」というキーワードで、お話をうかがいました。「骨盤底筋」に関するお話は、女性も必聴です。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
佐伯アナ)佐伯先生もロボット手術をされているんですよね。
佐伯医師)私は今、松山市民病院で勤務をしておりますが、昨年4月から内視鏡手術を支援するロボット「ダビンチXI」というものを導入しました。それを使って前立腺がんの治療にあたっております。
佐伯アナ)これ、どんな機械なんですか?
佐伯医師)そうですよね。ロボット手術っていうものをちょっとご説明させていただくんですけれども、患者様の体に約1センチぐらいのちっちゃな穴になるんですけども、そういった筒状のものが入る穴を開けさせていただいて、そこからですね、ロボットの手が入っていきます。アームというものになるんですけれども、カメラやアームを挿入することで、お腹の中の様子っていうのがモニターの方に映し出されます。それを医師がリアルな3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすことで、そのコンピュータを通してロボットに忠実に伝わって、手術の機械が連動して手術を行うことが可能になるものとなってます。
佐伯アナ)は~。だから手元で先生が動かしているその手技、指の動きっていうのがロボットにそのまま伝わって…
佐伯医師)そうなんです。
佐伯アナ)ロボットが実際には手術を進めていくという、もうなんか未来のシステムみたいに、私なんか感じちゃうんですけれども。内視鏡カメラとかアームとかという言葉が今出てきましたが、これはそれぞれどんなシステムになってるんですか?
佐伯医師)はい。まず外科医が、コンソールと言われるような操縦席があるんですけれども
佐伯アナ)操縦席!?
佐伯医師)はい、そこで操作を行っていきます。で、あの先ほど申し上げたアームというものが狭い骨盤の中で動いていくようになるんですけども、そのアームを動かすのは執刀医=サージャンの手で動かしていくような形になります。ロボットは実際に患者様のそばに置いてありまして、そこで手術の機械などを取り付けたロボットアームが動く形になってきます。
佐伯アナ)先生が座ってらっしゃるそのコンソール、操作するところと患者さんとの距離っていうのは実際どのくらいなんですか?
佐伯医師)実はすごく近くて1メートルぐらいです。
佐伯アナ)すぐそこで!それを感じながら操作をされているっていう形なんですね。でもあれって、当然人間がしてる場合は1センチ切ったら1センチ切れますけれども、1センチ動いたらロボットも1センチ動くみたいな形なんですか?
佐伯医師)実際に1センチ動いたら1センチ動く設定もできますし
佐伯アナ)設定ができるんだ。
佐伯医師)さらにもっと細かく縫いたいよとか、もっと細かい操作が必要だよっていうところでは、1対3、1対1.5などの設定を変更して行うことが可能になります。
佐伯アナ)じゃ、より細かい作業が可能になるということですか。
佐伯医師)そうなんです。
佐伯アナ)そうなってくると、先ほどアームとかカメラとか入れるのも小さい穴だっておっしゃいましたけれども、開腹で行うのに比べるとずいぶん患者さんの負担も減るでしょうね。
佐伯医師)そうなんです。やっぱりロボット手術の最大の目的は、体への負担が少なく精密な操作が可能であるというところにあると思います。それが故にですね、術後のお痛みが少なくて回復も早いです。
佐伯アナ)あと本当に切っちゃうのとは全然違うでしょうからね、傷跡の大きさとかもね。出血の量なんかも違ってくるんじゃないですか?
佐伯医師)実はこれまでは輸血を必要な手術であったんですけれども、ロボットで前立腺の手術をするようになってから、輸血を行う例っていうのは非常に少なくなってきてます。
佐伯アナ)これも大きな負担の削減になりますよね。一方で手術する側の先生にとってはどうなんですか?
佐伯医師)ありがたいことにですね、もう本当に無理な体勢がなく立ったままで手術するっていうようなことがなくなりましたので、座って安定した手術を行うことが可能になります。また手ブレの防止機能などもあります。
佐伯アナ)あ、そうなんですね!
佐伯医師)なので疲労も軽減できますし、あとはやっぱり私みたいな若いドクターでも安全な手術ができるのは、手術がどんどんみんなで共有することができて標準化して教育効果っていうのも高いっていうのが、ロボット手術の特徴だと思います。
佐伯アナ)あと人間の手以上の関節を持ってるっておっしゃいましたけど。
佐伯医師)そうなんです。なので骨盤の中の狭いところでも関節を使って奥まで入り込んでいくことが可能になってます。
佐伯アナ)より正確な…
佐伯医師)そうですね、繊細で正確な動きが可能になっていると思います。
佐伯アナ)じゃ、患者さんにとっても医療者にとってもメリットのとても大きい術式になるんですね。
佐伯医師)はい、そうです。
[ Playlist ]
Prince – What Do U Want Me 2 Do
Emilie Schiott – It May Be You
Sonya Kitchell – Cold Day
Ryan Adams – Answering Bell
Selected By Haruhiko Ohno



