今週、坂の上に訪ねて来てくださったのは、松山市出身の脚本家・村上かのんさん。新人脚本家を発掘する「城戸賞」など数々の受賞歴を持つ村上さんが、最近手掛けた作品の一つが映画「あいが、そいで、こい」。国内映画祭でお披露目され、劇場公開も決まった今作は、ちょっと変わった手法で作られたというのですが…。


 

佐伯)ちょっと変わった作り方をされた映画だという事なんですが、これどういうことなんでしょうか?まずは予算があんまりなかった…

村上)そうですね、低予算ですね。

佐伯)ちなみに、おいくら?

村上)だいたい約300万円…

佐伯)いわゆるインディーズ映画ということになるんですか?

村上)そうですね、インディーズになっちゃうのかな。

佐伯)そしてなんと、あの大ヒットした映画「カメ止め」とも縁があると伺いましたが、これはどういうことなんでしょうか?

村上)その「カメラを止めるな!」も同じワークショップ型オーディションで作られた作品なんですけど…

佐伯)そのワークショップ型オーディションってどういうものなんですか?

村上)えーとですね、今回その制作が「ENBUゼミナール」というところで、そこが役者の方向けのワークショップとか監督向けのワークショップをやっている学校というか、そういうスクールなんです。そこで、毎年このシネマプロジェクトっていうのを行っていて、監督が来年作品を作ります、それに出たい方はその監督のワークショップを受けて、且つそれがオーディションになるというか…なんかうまく言えないんですけど、その監督がそのワークショップの中で見て「この子を使いたいな」ってなるとその方をキャスティングしたりとかっていう形で。そのワークショップとオーディションを一気にやるっていう形なんですよね。

佐伯)じゃあそのワークショップにまずは参加しないと出演にはつながらない、という形なんですね。誰でも参加できるんですか?

村上)誰でも参加できましたね。

佐伯)普通ワークショップに参加するってなると、レッスン料みたいなのがかかってくるでしょう?

村上)今回も数万円ぐらいですね、多分参加費が。それを支払って役者さんはワークショップで学びつつオーディションにも参加しているっていう形。で、それが映画の制作費に充てられるっていう。

佐伯)じゃぁ見事キャスティングされた方は、そのギャランティでワークショップに支払ったレッスン料は取り返せるみたいなイメージですか?

村上)ギャランティーが出ないんですよね。

佐伯)え?ゼロ?

村上)ゼロ。まあ、お金払って映画に出るって言う形にはなります。

佐伯)こういう形があるんだ!

村上)はい。

佐伯)お金払っても、とにかくそれに出たいと。

村上)そうですね、やっぱりその実績ってね、こういう世界だと大事だったりとかするので。経験だったりとかっていうのが。新人の頃ってそういう作品に関われるっていうことをまずやりたいっていう子達が出たりっていう。

佐伯)じゃあワークショップの中で見出されて作品に登場することで、また多くの人の目に触れて、そこからスターが!っていうことですね。なんか夢があります!

村上)そういうのだとチャンスが掴みやすくなったかなと思いますね。

佐伯)そして制作費も300万円ぐらいっていうことなんですけども、この制作費っていうのは、さっきおっしゃったワークショップオーディションの参加費と、あとどのようにして賄われるんですか?

村上)あとはクラウドファンディングですね、いま流行りの。

佐伯)へ~、イマドキ!どのくらいですか?

村上)確か150万円ぐらい集まったかと。

佐伯)クラウドファンディングって、返礼品みたいなものがあるじゃないですか?この作品の場合は何が返礼品だったんですか?

村上)500円から参加できて、500円だと確かその制作日記だったりとかっていうブログが読めるという特典があったり、5000円ぐらいすると先行上映のチケットがあったりとか、DVD とかその台本をもらえたりとか色々。

佐伯)台本もらえちゃうんですか?

村上)台本もありましたね。

佐伯)それ、すごく貴重!

村上)恥ずかしかったですね。

佐伯)そっか、村上さんそのものが渡されたみたいなものですもんね。

村上)ちょうど、これがその配るようの台本。

佐伯)ブルーの、さっき見せて頂いた!でもこれ受け取った映画ファンにはたまらないでしょうね。

村上)恥ずかしいですけどね。

佐伯)いやいや。それで自分の出したお金で、「オレちょっとあの映画支援したんだよね」みたいな気持ちも味わえるという(笑)。でも500円からってなれば、本当にいろんな方から気軽に募れますもんね。そうか、クラウドファンディング…。本当に多くの方に思いが入って出来上がっている映画「あいが、そいで、こい」なんですけれども、これ愛媛にいる私たちが見ようと思ったら、劇場公開してるところへやっぱ出かけていくしか今はしょうがないのでしょうか?

村上)そうですね、今はそうですね。DVD とかに、もしかしたらなるかもしれないのですが。

佐伯)でも本当に気になるって言う方は、ぜひぜひ調べて頂いて。

村上)お願いします。

佐伯)そして次回の愛媛国際映画祭にという野望も。

村上)いやぁ来年の目標です、ホントに。

 

 


[ Playlist ]

Sonya Kitchell – Cold Day
Roos Jonker – Man In The Middle
The Velvet Underground – Sunday Morning
Prince – What Do U Want Me 2 Do
Rickie Lee Jones – On The Street Where You Live
Rumer – Blackbird

Selected By Haruhiko Ohno


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