今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、西条市にある「ジロー食堂 千葉茂生家店」オーナーの吉本栄作さん。その店名から察することができるように、千葉茂さんを愛し、若い世代の人たちにももっと知ってほしいという吉本さん。「野球王国愛媛」を語る上で欠かせない存在である千葉茂さんについて、「カツカレーの発案者」「長嶋に背番号3を譲った男」「バファロー、猛牛の愛称」という3つのキーワードで熱く語って頂きました。
佐伯)それでは 1つ目のキーワードです。「カツカレーの発案者」ということですけど、これどういうことですか?
吉本)巨人軍の選手時代、銀座の「グリルスイス」という洋食屋に通っていたそうです。昭和20年代、とある試合の日、「カレーライスにカツレツを乗せて」と注文しました。というのは、もう試合が始まりそうで時間がなかったので、大好きな2つを同時に食べたいという思いからでした。
佐伯)じゃ、メニューにはなかったわけですね。
吉本)そういうことです。当時の値段は180円、今だと8000円ぐらいだそうです。
佐伯)え~!さすがスター選手!
吉本)スター選手だから出来たと言われています。千葉選手はカレーライスとカツレツが大好きでした。カツレツは勝負に勝つというゲンを担ぎ、試合前によく食べていたそうです。
佐伯)じゃあ急いでたから出来たメニューってことですか。でも今だったらカレーに色んなものを乗せてるメニューありますけど、当時はカレーライスとカツレツっていうのは別個で提供されるのが普通だったと。
吉本)そうだと思います。
佐伯)それを千葉さんの発案というか「急いでるから!」って生まれたのがカツカレーだったんですね。
吉本)それだけでなくてですね、千葉茂さんが野球選手だから新聞記者などに言ったんじゃないでしょうか?「カレーの上にカツを乗せたら美味しいぞ」って。で、カツカレーが広まったと思いますね。
佐伯)あ、自分が食べるだけじゃなくって…
吉本)自分が食べるだけでは話は広がらないと思いますね。
佐伯)そうですね、はい。それを例えば新聞記者なんかに…
吉本)言ったと思いますね。
佐伯)で、新聞記者も食べてみたら「これイケるじゃないか」と。
吉本)そういうことだと思いますね。
佐伯)で、だんだん広がっていったんですか。へ~。
吉本)で、その店の名前も広がっていったと。
佐伯)あ!え~っと何でしたっけ、当時が銀座の「グリルスイス」。このお店は今も残ってるんですか?
吉本)残っていてですね、現在は「銀座スイス」に改名しているそうです。
佐伯)スイスは残ってるんだ!今は「銀座スイス」、ちょっと行ってみたいですね。
吉本)行ってみたいと思います。
佐伯)あら吉本さん、行ったことは?
吉本)友達が行きました。
佐伯)アハハ!そうなんですね。その御友人なんておっしゃってました?
吉本)とても美味しかって言葉にならなかったそうです。
佐伯)え~!ますます食べてみたいけど、ただ吉本さん御自身が食堂なさってるでしょ。そこではカツカレーは提供されてるんですか?
吉本)あの~、やっぱり千葉茂生家跡ということで、提供して人気を博しています。
佐伯)あらあら。何かこだわりみたいなものってあるんですか?
吉本)ボリュームたっぷりというところがこだわっています。
佐伯)あ~、たぶん千葉茂さんが召し上がってたのもボリュームたっぷりだったんでしょうね。なんかそんな気がしますけれども、ちなみにそのジロー食堂、吉本さんちの食堂のカツカレーのお値段、おいくらでしょうか?
吉本)「千葉茂のカツカレー」として1000円で販売しています。
佐伯)え、メニューに「千葉茂の」って付いてるんですか!そうですか(笑)なるほど、それで一つ目のキーワードになるのも納得という感じがしますけれども、プロ野球選手のお話のまず最初に伺えたのがこのカツカレーにまつわるエピソードってのは非常に面白いですね。
[ Playlist ]
Madeleine Peyroux – Don’t Wait Too Long
Minnie Riperton – Perfect Angel
Saint Etienne – Nothing Can Stop Us
Bell & Sebastian – Waiting For The Moon To Rise
Povo – Million Ways
Selected By Haruhiko Ohno