今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、映画監督の大森研一さん。愛媛県内で多くのご当地映画を制作し、昨年末には新居浜の移住促進ドラマ「ちょうどよい幸せ」を配信開始された大森監督に伺うのは「フィルムツーリズム」について。つまり、映画やドラマのロケ地巡り、聖地巡礼などとも呼ばれます。これが地域にもたらす影響や監督がご当地ロケにこだわる理由について熱く語ってくれました。
佐伯)ご当地映画っていうのは一つのジャンルとして、もうしっかり根付いているっていう感じかなと思うんですけれども、これご当地でとらないとご当地映画にならないわけで、その魅力っていうのはどんなことが考えられますか?
大森)まあ結構その…まず僕の場合は特にオリジナル作品が多いので、地元を知ることから始まるんですけども、何よりその地方でしか取れない、例えば景色とか、あと独特のそういった文化みたいなのっていうのは何にも代え難いと言いますか。例えばスタジオの中でセットを組んで撮るとかと違って、やっぱり平等に勝負が出来るんですよね。そういった美しい自然とかをスクリーンに映し出すっていうのは。そういうのはすごい強み、大きな強みでありますし、やっぱり地元の人と一緒に作ってるっていうその…なんですかね、もう東京からポーンとやってきて知らない間に撮って帰ったっていうだけではなくて、一緒に作ってる感っていう、一つのお祭りじゃないですけど、ちょっと異空間みたいな…ずっと残っていくものなのでその土地に。映画自体もそうですけども、経験していただくっていうことも含めてですけど、ただ作るだけではなくて、なんか色んな交流も生まれますし。もし映画が来なかったら関わってなかっただろうな、こんな縁っていう人も、すごい毎回聞くんですけどもそういった交わりなんかも、地元では活性化…副産物としてね、生まれたりもしてるなーってのは実感してます。
佐伯)それもまた財産として地域に残っていくっていうことですもんね。
大森)そうですね。
佐伯)ただ一方で、ご当地映画を作るからこその大変さっていうのもあるかなと。
大森)そうなんですよね。やっぱり「なんで?」っていうのがつきまとうんですよ。「半分は東京で撮ったらだめなの?」とか。いろんな費用のこととかも考えて、あとスケジュールですよね。役者さんがやってきて滞在してとかもいろんなことも含めて、その負担とかも全部そうなんですけども、色んなことがある中でそれを覆してでも地元で撮るっていう、そこにこだわるっていうのはやっぱり半分意地でもありますよね。映画作りの、その妥協しない意地と言いますか、まぁそういったところもあるんですけど、ちょっとただ怖いのは天気とかが怖いのは怖いですよ。やっぱり外なんで。
佐伯)ロケだから。
大森)外ロケなんで。
佐伯)今までってどうでした?
大森)いや奇跡的に、もう全く何も天気には影響されたことがないんです。
佐伯)え!?一回も???
大森)すごい、そうなんですよ。全作品一度もないんですけども。
佐伯)それスゴイですね!
大森)本当に。もう本当に、天気だけは…なんでしょうかね、本当に。
佐伯)そうですか…なんか奇跡の晴れ男というか(笑)
大森)もう賭けですからね、怖いですよ、本当に。
佐伯)こればっかりはね。晴れてたら、雨降らすみたいな技術は持ってる方もいるのかもしれないけど…そうですか。あと監督はもうとにかく「県内を舞台にした作品といえば大森監督」みたいな地位を確立されてるなっていう印象もあるんですけど、その辺りはご自身はどう思ってらっしゃるんですか?
大森)そうですね、自分的には…例えば他の監督さんが地元に入ってきて、その地元の方も望むような物語を作るってなると本当に大変だとは思うんですよ。自分はやっぱり愛媛出身なので地の利を生かしてっていうのが一番大きいんですけども、あらゆる面で普通だと実現できないことを実現できるように、そのアドバンテージですね、費用の面ですとか色んな所に影響やっぱりするんですよね。知らない、やっぱり外部の監督さんが来るだけで何百万って上積みなので、費用だけの話をするともう撮影隊とか何回も来てロケハンしたり準備したりも含めてですけども、そういうんじゃなくてその分たとえば有名な役者さん呼べるようにそこに費用を当てようとか、いろんなこともやっぱり出来る。この地の利っていうのは相当な差はあると思います。あの、なので…僕を呼んでください(笑)愛媛で映画撮る時には。だからよく言われるのは「コスパが圧倒的にいいね」っていうのは言われるんですよ。もう僕は絶対に方針としてしっかり準備をすることと期限は絶対に100%守ることと、最初に決めたところは全くその予定通りにクリアするっていうのを信条としてやっているので、その辺はだんだん積み重ねるごとに周りにわかっていただいて、信頼いただいてっていう積み重ねで来てるかなと思います。
[ Playlist ]
The Beatles – For No One
José Feliciano – Wild World
The Submarines – Clouds
Selected By Haruhiko Ohno