今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、社会福祉法人松山紅梅会「梅本の里」副理事長で施設長でもいらっしゃる杉本太一さん。地域で暮らす人が、性別や年齢、障がいの有無に関わらず、安心して人生を全うすることができるコミュニティづくりを「ごちゃまぜ福祉」と名付け推進されています。実際に「梅本の里」では、誰でも利用できるレストランや銭湯、駄菓子屋、野菜の販売所などがあり、スタッフのために始めた託児所の子供たちとデイサービス利用のお年寄りのふれあいが広がるなど予想を超えた様々な“化学反応”が起こっています。今週は「ごちゃまぜ福祉」をテーマに、「お年寄りと子どもたちがつくる奇跡」「ごちゃまぜを体現する人たち」「福祉サービス業から空間創造業へ」のキーワードでお話を伺いました。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)では、二つ目のキーワードです。「ごちゃまぜを体現する人たち」、これはどういう意味でしょうか?

杉本)はい。今取り組んでるのがですね、よく介護職員さんが、さっき言った人手不足とかあるんですけど、この大きな要因の一つに、介護職は介護の勉強してきて専門学校とかも含めて、あとから資格登録してる方もたくさんいらっしゃるんですけど、介護をしたいのに周辺事業があまりにも多いんですね。

佐伯)え、どういうことですか?

杉本)掃除とか洗濯とか記録とか、そんなのが多すぎて、本当にお年寄りと触れ合う時間がすごく少なくて。

佐伯)あ、 そんな感じなんですね。

杉本)それで最初の理想というか望みと違って、リタイアしてしまう人も結構多いので。だから「梅本の里」は、介護職は介護の専門家としてケアに専念していただこうと。っていうことで、周辺事業と分けるということで、我々はリビングメイトさんっていう名前で呼んでるんですけど、例えば障害のある方も一般就労してもらったりとか。上はね、84歳の方も元気に働いていただいてる…

佐伯)84歳の方がケアを受けてるんじゃなくて働いてる!その方どんなことされてるんですか?

杉本)そうですね、この人はテイラーさんだったんですけど、元々先天性に膝が曲がらないっていうご病気があって、ご両親の勧めで手に職をつけるということで、洋裁の仕事されてたんですけどリタイアされて。今、うちに来ていただいてですね、本当にもう掃除から洗濯から、あとはもう外では草刈りをやってもらったりとか、いろんな整備をしてくれて大活躍されてるんですね。だからもう見た目で、84歳とか障害があるとかで見ないで、その人が持ってる能力に注目すると、ものすごく活躍する人たくさんいらっしゃって。次は元大工さんとかっていうのは、本当にもうお手のもんですから

佐伯)DIY!

杉本)33年もなるといろんなことが壊れてくるんですけれども、たちどころに直してもらったりとかですね。

佐伯)だって職人さんですもんね。

杉本)すごく助かってますし、さっき言ったレストランで働く方も障害があるんですけれど、ものすごい明るいんですよ。ニコニコしてですね、誰よりも接客が一番じゃないかって、うちのスタッフの中で。やっぱり皆さんを明るくすると。だから障害特性とかで見ずに、できることに注目すれば、もっともっと広がっていくっていうのを体感してます。

佐伯)しかもそういう方たちの活躍が、人手不足と言われている介護職の方のサポートにもなって。

杉本)で、介護職はもう介護に専念できて、より自分のやりたいケアであったりとか、高いレベルのサービスが提供できるということ。本当にあの、一般就労の知的障害のある女性も施設の中で介護職で働いてるんですけど、本当に70人いる入居者のオムツの種類も枚数も全部彼女が一手に把握してて、たちどころに準備ができて、すごく助かってる。障害があっても実は介護福祉士という国家資格も取ったりですね。

佐伯)そうなんですか。

杉本)子供の免許も取ってたりとかして。だから、本当にできることに注目すれば、それをパズルのように組み合わせれば、みんなが豊かになるっていうふうに思うんですね。

佐伯)もう今ね、ダイバーシティっていう多様性を受け入れる、多様性のある社会を目指そうっていうふうに言われてますけれども、まさにこの「ごちゃまぜ福祉」の中でそれが体現されてますね。

杉本)そうですね。ダイバーシティの多様性を認めるから今度インクルージョンになって、それがみんなが活躍できる場所になってほしいなと思ってるんです。「ごちゃまぜ福祉」の大きなポイントの一つが、「居場所があって出番がある」。

佐伯)あ、も「出番がある」っていうの、いいですね!

杉本)これを体現できる空間にしたいなというふうに思ってます。

佐伯)自分が何かの役に立ってるって思えるってすごいことですよね。

杉本)自分自身のためにやるとね、結構さぼったりするんですよ、途中でやめたりとか。でも、人のためって思ったら、たぶん二倍三倍も働けるんですよ。そんな感じで何か子育てしたりとか、誰かのためと思ったら本当力が出ます。

佐伯)そうですよね。

杉本)そんなんが寄り集まると、世の中ってもっと豊かになるんじゃないかなと思うんですよね。

佐伯)なるほど。高齢の方や障害のある方たちの活躍の中に、子供たちも自然に居場所として存在しているっていうのもいいですね。

杉本)うちを「第三の場所」にしてほしいんですよ。サードプレイスですね。

佐伯)サードプレイスという言葉もよく聞くようになりました。

杉本)特に子供たちだったら、おうちがあったりとか学校があったり、もう一つの場所があったらいい。それで本当にこれはサードプレイス、フォースプレイスといろいろたくさんあると、やっぱ逃げ場があるっていうか。やっぱりどうしても今、本当にさっき言った同じ年代とか同じ価値観で固まると、弾かれるともう元に戻れないというか、居場所が本当になくてかわいそうなんで、どっかに行けば落ち着くというか、出番があったりするところを作ってあげたいので、そういう場所として利用してもらったらありがたいです。

佐伯)地域の方にとっても、そのサードプレイス、家庭でも仕事でもない、もう一つの場所っていうことで気軽に訪れることのできる場所なんでしょうね。

杉本)そうなりたいですね。

 


[ Playlist ]
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矢野顕子 – 電話線
The Little Willies – Roll On

Selected By Haruhiko Ohno


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