今週はラジフェススペシャルとして、松山市大街道商店街のラジフェス特設ステージから公開生放送!「お国ことばは文化財」を旗印に、伊予弁で昔話や民話を語り継ぐ活動を続けられている「お伽座」から、伊賀澄子さん、和田紀子さんをゲストにお招きしました。昨年お伽座は結成20周年を記念して、「伊予の方言辞典」を刊行されました。ひとことで「伊予弁」といっても、東中南予の地域差はもちろん、隣の市町でも異なる表現が多くあり、メンバーの皆さんも「しろんごろん」(※意味は下記本編参照)しながら、2200語を収録されたんだとか。会場では実際に伊予弁での民話披露や「伊予弁クイズ」など、あったかい伊予弁満載でお届けしました。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)ここからは、お伽座さんが昨年刊行されました「お伽座の伊予の方言辞典」についてお話を伺っていきます。伊賀さん、こちらの方言辞典なんですけれども、内容が相当濃いですね。

伊賀)はい。ありがとうございます。

佐伯)どんな内容なのか、改めてご紹介ください。

伊賀)はい、「お伽座の伊予の方言辞典」は、お伽座がこれまでに語った約1200話の中や、座員が70年80年と生きてきた中で身についた伊予弁を中心に、2200語あまりを選んで収録したものです。

佐伯)2200語!

伊賀)およそ6年がかりで、お伽座20周年記念として出版いたしました。伊予弁に関わった20年間の集大成として、多くの人に知ってもらいたい、後世に残したいという思いで方言辞典を刊行いたしました。

佐伯)2200語、と一言でおっしゃいますが、ものすごい言葉の数ですよね。

伊賀)そうですね、ピックアップしたのはもっともっと多かったんですけれども、編集過程では一つ一つ広辞苑で確認しながら、共通語、それから標準語との判別作業を行いまして、方言と思っていた言葉でも広辞苑に載っておりましたら、それはもう標準語というふうなことで除外させていただきましたた。だもんで、この辞典は精度としては高いものじゃないかなと思って自負しております。

佐伯)なるほど。だけど例えば、私は松山出身で夫は北条の出身なんですよ。もうそしたらそれだけでも方言が違ってて、「そんなの初めて聞いた!」みたいなことがあるくらいですから、まとめていくの大変じゃないですか(笑)

伊賀)そうですね、はい。正直「しろんごろん」やりましたね。

佐伯)そうでしょう!いま「しろんごろん」って(笑)

伊賀)はい、「しろんごろん」いうのはわかりますでしょうか?「とことん議論する」という伊予弁でございます(笑)

佐伯)「しろんごろん」使われますかね、会場の方?数人は「うんうん」とうなずいていらっしゃるようですけれども(笑)

伊賀)で、いろんな思いの差はありましたけれども、とことん話して、そして東予中予南予それぞれの出身者がおりますので、最終的には出身者の意見を尊重したというようなところがございます。

佐伯)そうですか。ちなみに伊賀さん、ご出身は?

伊賀)南予なんです、野村町なんです。

佐伯)そうですか。南予の言葉と、これまた松山の言葉と、全く違うところもあるでしょうからね。

伊賀)私も野村を出てからは長いんです。もうそれこそ松山の方がもう50年以上になりましたので長いんですけれども、未だにやっぱり南予弁の方が…

佐伯)出てくる(笑)

伊賀)はい、身に付いてますね。

佐伯)そうですか。やっぱり小さい頃に見聞きした言葉っていうのは、いつまでたっても身にしみているというかね。そんな中でまとめられたこの「伊予の方言辞典」ということで、こちらは県内で配られたんですか?

伊賀)はい、ありがとうございます。出来上がった方言辞典は、若い人や子供たちにも伊予弁に親しんでもらいたいと、それから愛媛県内の小学校から大学までの学校関係と主な図書館に。県内の主な図書館、合計533ヶ所に寄贈させていただきました。

佐伯)500ヶ所以上に!

伊賀)はい。

佐伯)そうですか。

伊賀)ある小学校の校長先生からは「教材にしたいので、あと5冊送ってほしい」、そういうふうな嬉しい連絡もいただきました。それから辞典を手にしてくださった方からは、「辞典とは言ってもずいぶん読みやすい」とかですね、それから「例文を見て懐かしく思った」「索引は逆引きとなっており、工夫がされている」とかいうふうにいろんな意見をいただきまして、案外評判はよろしいんですよ。

佐伯)そうですよね、いや、私ももちろん読ませていただいたんですけれども、読み物としても本当に面白い。「あ、こんな言葉があったんだ」とか「自分が思ってたのと違うな」とか、地元の人間でもいっぱい発見がありますよね。スペシャルドラマ「坂の上の雲」の中でも、例えばあの「がいじゃのう!」っていうセリフ、皆さんも耳にされたと思うんですけれども、あと「だんだん」=ありがとうっていう、そういった伊予弁っていうのは本当なんとも言えないぬくもりを感じさせてくれますよね。

 


[ Playlist ]
Norah Jones – Toes
Swing Out Sister – Breakout
Ryan Adams – Answering Bell
Sophie Milman – It Might As Well Be Spring

Selected By Haruhiko Ohno


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