今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、「郡中だし文化を楽しむ会」、略して「だし楽(らく)」実行委員長の小出貴司さん。伊予市郡中エリアは、日本を代表する削り節メーカーが並ぶ「花かつお生産日本一のまち」なんです。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている「和食;日本人の伝統的な食文化」に欠かせないのが「だし」。「だし楽」では、だしの歴史や製法、栄養やレシピなどを学び広める活動を続けていて、中には「利き酒」ならぬ「利きだし」イベントも!番組の中では佐伯アナウンサーも「利きだし」に挑戦しています。今回は「だし文化」をテーマに、「花かつおの生みの親」「おいしく健康に」「利きだし体験」というキーワードでトークを繰り広げました。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)では、一つ目のキーワードです。「花かつおの生みの親」ということなんですが、これ、花かつおっていうのはそもそもどういう状態のものですか。

小出)はい、花かつおっていうのは削り節を総称してですね、カツオに限らず花かつおと言います。そもそもはですね、大正6年だったかな、海産物商を伊予市で営んでいた…ま、郡中ですかね、その当時は伊予市じゃないんで、郡中で営んでいた岡部仁左衛門さんっていう方がですね、それまでも手で削るやつがありますよね、あれで削って作ってたようなんですけど、行商先の名古屋でですね、機械式の削り機っていうのを見てですね、これはだいぶ商売にいいんじゃないかということでそれを導入してですね、地元でもそれで削り節を始めたということで。最初は手動だったのが、当然、時代の流れによって電気になったりとかして、それで大量生産できるようになった。当時、やはり伊予市には他にもたくさん乾物屋さんがあってですね、ヤマキさんとかマルトモさんの前身にあたるところも同じようにこれを始めて、伊予市のですね、一大産業となっていったというようなことだと聞いています。

佐伯)はっきりこの人が導入したってわかってるんですね。

小出)それはもう歴史にも残っているようで、特に昭和21年からはですね、郡中町長としてその岡部仁左衛門さんが商業振興に尽くしたりしてですね、伊予市の大立者として銅像が市内には立ってます。

佐伯)すごい!そうなんですか。その岡部仁左衛門さんが「花かつおの生みの親」。

小出)そうですね。「ヤマニの花かつお」という名前で全国に売り出して、瞬く間に人気商品になったということですね。

佐伯)もとは各家庭で、何かカンナみたいな感じので削ってたのを、それを機械式にしていったという立役者なんですね。

小出)ですから手で削っているときはやっぱり高級食材で、あんまり庶民には手の届かないようなものだったのじゃないかと言われてますね。削ったものが、当時は紙だったようなんですけど袋に入れて売られるようになって、やはり家庭でも使いやすくなったということだろうと思います。

佐伯)そうですか。あとさっきおっしゃったカツオ節じゃなくてイワシとかだったってことですか?

小出)そうですね。「花かつお」っていう名前で、イワシとかサバとかアジとかも売られてたようですね。昔は今みたいに原材料が厳密に表記されたりとかですね、そういうことじゃなくてゆるいあれだったので、いわゆる削り節全般が「花かつお」というふうに呼ばれていたと聞いています。

佐伯)ふ~ん。まあでも本当その名前の通り花びらみたいに薄~くね。

小出)そうですね。名前もいいですよね。

佐伯)そう!いいと思います(笑)。「花かつお」っていう名前で売り出したっていうのもヒットに繋がったのかもしれませんね。でもやっぱりその原料となる魚によっていろいろと特徴があるんしょう?

小出)そうですね、やはりカツオは一番有名なので皆さんご存知だとは思うんですけど、特に伊予市で昔からやられている相原商店さんっていう…今日もちょっと持ってきてるんですけど、ムロアジの削り節が有名でして。

佐伯)ムロアジ、はい。

小出)あとはホウタレイワシ、これはカタクチイワシとも言いますけど、これなんかはですね、常に町家さん(郡中の観光物産センター)の店頭にも並んでまして、これは結構人気ですね。

 


[ Playlist ]
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Carlos Lyra – Influencia Do Jazz
Madeleine Peyroux – Don’t Wait Too Long

Selected By Haruhiko Ohno


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