「オンリーワンに」「自分らしく」「思うままに」―。
いい言葉です。

プロフェッショナルを演じる仕事術 若林計志 PHPビジネス新書 840円

新人時代、初めてテニス中継のリポーターを任されたときのことを思い出しました。
高校時代、ちょっとだけテニス部にいたので、ルールなどはある程度はわかっていたのですが、
スポーツリポーターという仕事は初めて。
「どのようにすればいいんですか」「選手に何を聞けばいいんですか?」「先輩たちがリポートした
過去のVTRを見せてください」と、担当ディレクターに何度もお願いをしました。
しかし、彼は、「自分の思うようにやれ」「人の仕事なんか、まねする必要はない」の一点張り。
結局、VTRも見せてもらえず、何をどうすればいいのか前勉強もしないまま、素人同然の新人が、
「自分の思うまま」にやって、当然ながら、ぐだぐだの結果となってしまいました。

今でも、胸を締め付けられるような苦い思い出です。

ディレクターが言った「自分の思うようにやれ」「人の真似をするな」という言葉だけを
とってみると、とてもすばらしい言葉です。

でも、「自分の思うよう」に、「オリジナリティーを出す」ことができるのは、結局、
「基礎」が徹底的に身についてから、はじめてできることなんですね。

空手などの武道だってそう。
門をたたいたその日に、「思うようにやってみろ」と、いきなり瓦を割らせたりしません。
徹底的に師匠の型をまねすることから始めさせて、基本を叩き込みます。
そして練習を積み技量をつけて、はじめて、その人なりの「オリジナリティー=持ち味」が
出てくるものです。

基本あってこその「オリジナリティー」なのです。

この本では「プロフェッショナル=一流」になりたいなら、まず、まねることからはじめろ、
と解いています。
経営者で言えば、松下幸之助や本田宗一郎、プロ野球選手のイチローや、芸術家の岡本太郎などなど。
それぞれの分野で一流といわれる人たちは、どう一流なのか、なぜ一流なのか。
あれこれ分析するよりも、まず行動をまねることが、一流になる近道だといいます。
演劇の台本のように、その人の行動を演じるということからスタートし、最終的には、
「演技」を越えて、プロフェッショナルになる方法を説いています。

「まねる」ったって、簡単にはできません。
「まねる」ためには、そのための技量をもたなくちゃいけないし、努力が必要です。

「自分らしくすればいいよ」という言葉を、「努力をしないままでいい」と、都合よく意味を
すり替えないようにしなくちゃね。

今年の春、ホームセンターで買ったさくらんぼの鉢。豊作です。ひゃっほー


すっぱかったそうです。