瓦礫と化したまち。
凍える寒さの中、子どもの肩をしっかり抱きしめている母親がいます。
どんなに寒くても、自分の上着を1枚脱ぎ、子どもの肩にかけるでしょう。
1日1個しか届かないおにぎり。
自分は口にすることなく、真っ先に子どもに食べさせていることでしょう。

【くじけないで】 柴田トヨ 飛鳥新社

「99歳の詩人」柴田トヨさんをはじめ、いま、80代から90代の年齢の方たちは、わたしが最も尊敬する年代です。
この年代は、子育て真っ最中の時期に、あの戦争を体験しました。
いつ死ぬかもわからない不安の中、戦闘機と砲弾の音におびえながら、子どもを背負い、ちいさな手を握りしめ、逃げまどう。
ろくにない食料を懸命に探し求め、まず、子どもに食べさせる。

自分の命を捨てる覚悟で、子どもを守り抜く…
どれほど大変だったことでしょう。

やがて、この年代が命をかけて守った子どもたちが、世界に類をみないほど発展した今の日本を作ってくれました。

いま、この時代を生きている子どもたち。
戦後最大の危機に直面した時代に生まれてきたあなたたちは、きっと「選ばれてきた」のだと思う。
この困難を、乗り越えられる力を持っているから、生まれてきたんだと思う。

この子たちは、ただの子どもじゃない。
わたしたちの日本を、世界を、きっと見事に復活させてくれる。
わたしたちが育てているのは、そんな、ヒーローたちなんですよ。

だから、頑張りましょうね。お母さんたち。
わたしも、全力で頑張ります。