深夜1時ごろ、ゴミをまとめるためにマンションの廊下に出た。

すると・・・

廊下の手すりにむかって、靴がそろえて置かれてあるじゃないか!
靴のつま先は、外を向いているし!
外・・・手すりのむこうは断崖絶壁。
わたしの部屋は上階なので、手すりから外を覗き込むたびに倒れそうになる。

「ひゃーーーやられた!!」と思った。

・・・深夜1時といえば、ちょうどその頃かもしれない。マンションの屋上はいつも施錠をしているので、その下にある、うちらの階に目をつけたのかも。きちんとした男性の革靴だった。会社で辛いことがあったのだろうか。高級そうな革靴だったので経営者かもしれない。借金だろうか。しかし、どうしてどうしてこの場所なんだ?これからこの廊下を通れないじゃないか。なんで死ぬんだよ、家族が悲しむじゃないか・・・・
などと頭がぐるぐる回っていた。

もちろん、「その現場」は見たくないので、手すりから下を覗き込めなかった。
ベッドの中で、時折聞こえるサイレンの音に、その都度反応した。
「キャー」という声がした・・・と思ったら、犬の鳴き声だった。

一晩中、まんじりともしない時間を過ごした。

ここに書き込むくらいだから、賢い皆さんはおわかりだと思いますが。
その正体は、
おなじ階の住民が、靴に防水スプレーをかけて、風とおりのいい廊下に置いてたんだって。

せめて、つま先を、別の方向に向けててほしかったです。