誕生日のお祝いメッセージ、ありがとうございました。
局では、「48」の数字に気づかないふりして、いつも通りすごしています。

さて、来週は24時間テレビです。
家を掃除するたびに、「これは次のフリマ用にとっとこう」と、候補品をためておくのですが、
局に持っていくために、玄関先に出しておくと、ぽんきちが見つけ、
「これはいかん!」と、ダメ出しをされるので、困ったもんです。

6月くらいに、「もう使ってないけんええやろ?」と確認して、了解したにもかかわらず、
物置から出した途端に、「いやっっ!」と言い始め、また遊び始めたキッチンセット。
けっきょく、出品は来年になってしまいました。
すみません。

でも、アレとかコレとか、こっそり持ち出す予定ですので、どうぞみなさま、
26日のアナウンサーフリーマーケットをお楽しみにしてくださいませ。

1週間の休み中は、ぽんきちにつきあって、プール・海・プール・海の毎日でした。
水遊びはダンナに任せて、わたしはほとんどテントの中で寝ていましたが。

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時間をまとめて読みたかったので、ちょっと厚めの本です。

管理される心 感情が商品になるとき  A.R.ホックシールド 世界思想社 3045円                           (原書は1983年に出版)

労働というと、肉体労働か知的労働かの2種類だと思っていましたが、
「感情労働」といわれるものがあることを知りました。

たとえば、航空機の客室乗務員の仕事というと、何を思い浮かべますか?
飲み物や食事を持ってきてくれたり、安全の確認をしてくれたり・・・
そんなことが主に浮かびますが、それ以上に、「笑顔で」「楽しそうに仕事をしていて」
「搭乗を心から歓迎しているように」思えるサービスを、乗客は受けているんですよね。

客室乗務員には、乗客の安全確保や、食事のサービスと同じくらいに、
こういった「感情部分での労働」が課せられています。
どんなに理不尽な要求をする乗客がいても、不愉快な言葉を投げかける客がいようとも、
「まるで自宅のリビングに客を招くような」親しさで、
「乗客にフライトを楽しんでもらえるように」つとめるよう、
航空会社は、客室乗務員に求めるわけです。

つまり、「この客サイテー!2度と来るな!!」と本心では思っていても、
それを自分の感情から切り離して、笑顔で応対しなさい、と求められているんですね。
会社からも乗客からも。

この感情部分の労働、いま世の中を見渡していると、ほとんどの職業に求められています。

看護師さんは、「いつもやさしくて、真剣に患者の病状を気遣っているよう」に感じさせる
ような感情労働を。
弁護士さんは、「心から相談者の将来を気遣っているよう」に感じてもらえる
ような感情労働を。
レストランのウエイターさんだって、「たのしい食事の雰囲気を作り出す」
ような感情労働が、求められているわけです。

でも、「お客さま第一」の接客は、本心とおなじときは、さほど問題はありませんが、
本心と違ったときには、かなりのストレスを生みます。
それだけに、この本では、そういった「感情労働」に対し、きちんとコストと時間をかけ、
ストレスを軽減するための教育・訓練をしなければならない、としています。

今のようなデフレになると、商品の価格競争は来るところまで来ているし、
これ以上値下げができないとなると、つぎは、無形の「サービス」になったりしますよね。
“お客さまのことにはなんでもお応えします”“笑顔はタダです!”なんて
謳っている企業もありますけど、ちゃんと、従業員がストレスをためないように、
「モンスター客」への対応訓練はされているのか、「心の負担分」は、
きちんと賃金として払われているのか、気になるところです。

デフレで給料は安くなるわ、人員減らされて仕事量は増えるわ、なのに、
「笑顔と気配り」は、これまで以上に最大限サービスしろ!なんてのは、だめ。
これは、社長さんもお客さんも、しっかりと心得ておきましょう。

翻ってわたしたちアナウンサー。
クールにいえば、いつでも、「楽しそうに」「おいしそうに」「この仕事を心から愛して
いるように」「心から共感しているように」みえる、感情労働が必要とされている
職業かもしれません。

でも、もっとも重要であり、わたしたちも時間をかけて教育・訓練しているのは、
災害時における「感情労働」です。
大きな災害が起こった、そこらじゅうモノが散乱し、足もとも揺れている、
大変なことが起こっている、家族はどうなっているか?わたしのいる場所は安全なのか?
だれだって、気持はパニック状態になると思います。
でもパニック状態の表情を、そのまま画面で見せてしまったら、視聴者には、
パニックがその何倍にも膨らんで伝わってしまいます。
これは決してあってはならないこと。

何があっても「落ち着いた態度」でアナウンスできるように、感情の管理ができるようにする。
そのために、時間を割いて、あらゆる状況を想定し、訓練しているのですが、
「感情管理」の訓練の機会は、日常にもあふれています。

街頭インタビューで、続けざまに10人に無視されても、涼しい顔で、次の人にアタックしたり、
ステージでヤジが飛んできても、匿名メールで罵詈雑言をあびても、気持はスルーしたり、
大事な場面で噛んでしまっても、2秒後には忘れるテクニックを身につけたり。

これらもすべて、いざというときのための、感情管理の訓練として、役立っているんですね。

と言いつつも、順番待ちの長い列にイライラして、ぽんきちにたしなめられるわたしは、
いつまでたっても訓練生です。