タコ松のぐずりがヒートアップしてきました。
抱き上げてもおっぱい飲ませてもぐずぐず。きのうはほぼ1日中抱きっぱなし。疲れ果ててダンナに抱かせてみたら、あーら、おとなしくなるじゃない。あんたが生まれた日に、早々と飲みに出かけた夜の街好きおっさんなのによぉ。手にうんちでもしてやんな。

タコ松。髪の毛がおとーちゃん似でちゅねー。

さて、出産回顧、手術日です。

入院前、帝王切開の経験がある友人らから「下半身しか麻酔かけないので、手術の様子が全部見えて気を失いそうになった」とか「あまり麻酔がかかってなくて、腹にメスを入れた感触もわかったし、メスが子宮に到達したときはさすがに痛かった」「腹を切って、生ぬるい羊水がどばどば出て、中から子どもがコイのようにぴちゃぴちゃ跳ねて出てくるのがわかった」といった、やたらリアルな恐怖体験をさんざん聞かされていたので、どんな痛みにも耐えて見せようじゃないかと、ハラをくくって手術台に上がりました。
麻酔をし、下半身はカーテンのむこうで見えません。
痛かったらどうしよう…と思いつつ、やがて、腹から下は無感覚に。
麻酔がかなり効いてきたな…あれ?苦しい、どうしてだ?意識が遠のいてゆく。息をするのも苦しいぞ…。あーー息ができん…くるしい…。
「酸素、酸素」という声が遠くで聞こえる。酸素吸入がはじまった。
「血圧が40です…あ、35、28、27に落ちています」「血圧を上げて!!」看護師と医師の緊迫した声が聞こえる。
「え??血圧27って、そんな低い血圧ってあるのか?…わたし、このまま死ぬのか?」
「いま羊水が出ました!」という助産師の声。「赤ちゃんが出てきますよ、わかります?」
「…死にそうに苦しいことしかわからん」

「赤ちゃんが出てきましたよー」

カーテンのむこうで、うぎゃーっっ、がーっっ!!というデカイ声が聞こえてきた。
あ、生まれたんだ、元気だ、よかった。
うるっときたので、「さあ泣こう」と思ったとたん、赤ちゃんですよーと、産まれたてのわが子を顔のそばまで持ってこられた。

・・・・・・・なんじゃこりゃ。

わが子と初対面、思わず口をついて出てきたのは、
「ヌカ漬けですか?」。

お産直後の赤ん坊は、「胎脂」という白っぽい粘着物をからだじゅうにくっつけているそうで、それがまるでヌカ床から出したばかりのきゅうりみたいなのだ。
おまけに、顔はガッツ・・・そう、ガッツ石松そっくり。

感動の涙も忘れてしまい、わたしは、「ヌカ床から出てきたガッツ石松…ヌカ床のガッツ石松」という言葉をつぶやきながら、深い眠りに落ちていったのでした。

産まれたての赤ん坊は、コケみたいな頭だし目は腫れてるし眉はないし、正直言ってぶさいくです。親のわたしだって、決して「かわいい」とは言えませんでしたもん。
それから2、3日は、いろんな人が来てくれて、「かわいい赤ちゃんですねー」といってくれましたが、この「かわいいー」は、そんなに世話になってもないのにとりあえず言っとく言葉、「いつもお世話になってます」に近いニュアンスなのだと理解できるようになりました。


前日夜から飲まず食わずを強いられていたので、出産よりも食べ物のことばかり考えてしまった。