ゆうべは遅くまで掃除をしていたので足腰が痛い妊婦です。
いままでかつてない体重の体を支えているのですから、立ったり座ったりするのが、非常にきつい。おまけに、スポーツはまったくしない無精者だったので、筋肉なんてついてないしさ。

さて、わたしが産休にはいる前にどうしてもお会いしたかった方を、先週取材してきました。
今日の新聞のテレビ欄に出てるかもしれませんが(まだ新聞取りに行ってませーん)、愛媛県の南の端、愛南町に住む、子ども10人のご夫婦です。

高校2年のお子さんを筆頭に、まもなく1歳になる末娘まで10人のお子さんです。
ひとり生むのでさえ「金が大変だー」「サポート体制がなってない」という不満が出てくるいまの社会ですが、いったいどうして10人生もうと思ったのか、どうやって生活しているのか、素直にお伺いしてみたかったからです。

授かるままに生んだのは、「4番目の子どもの誕生死」が理由でした。3男(大志くん)は、それまで何も異常はなく、普通に生まれてきたのに、出産後1時間で亡くなってしまいました。それ以来、命のありがたさをしっかりと家族うけとめてこられたのです。
そして生活。けっして楽ではありません。
子どもたちにはお小遣いはありません。加えて、高校までは学費も出すけどそれ以降は自分で何とかする、と暗黙のルールがあるそうです。子どもたちも、「うちはお金ないから、あたりまえだ」と、それぞれ納得し、自分の進路を決めているようです。
「子どもの教育費が莫大にかかる・・・」と不満の多い現代ですが、ちょっと前の日本ってこうだったんですよね。「今よりもいい生活をしたい、だから自分の力で頑張る」って。

お父さんは、2年前まで旧城辺町の職員として働いていましたが、愛南町への合併を機に、リストラされてしまいました。
現在は、草刈などの作業を町から個人で請け負う仕事をしています。でも、そういった仕事は主に夏場しかありません。冬はほとんど失業状態です。
一家の大黒柱はお母さん。町内の老人ホームで週5日、調理員として働いた給料で、生活を支えています。
お母さんは子どもの世話と早朝からの仕事のため、働きづくめです。1日の睡眠時間は2〜3時間。それでも働いて、家族を支えなければなりません。「私は元来丈夫だから」と笑って答えるお母さん(39歳)ですが、もう無理のきかなくなる年齢も近いはずです。

それでも一家は明るく頑張ります。ガンバレ大家族!!
ちゃんちゃん、っていうのが、きょうのニュース企画の内容。

でもね、そんなキレイごとだけじゃないんです、12人が食べていくって。

お父さんの安定した収入が絶たれてしまった理由が、町の合併でした。
「子どもがおおぜいいる人をリストラするのはどうか」と、町内の人たちが雇用継続のための署名活動をしてくれ、1000人の署名が集まったそうです。その請願書は議会で取り上げられ採択されましたが、実際には、2年たってもリストラされたままです。(※議決されても、人事権は行政=町にあるのです)

お母さんは、町の人にかけあったそうです。でも、役場の人はひとこと。「仕事はそんなに甘いもんじゃない」ー。

確かにいま、南予地域の経済は大変で、失業率も高いです。お母さんが言っていましたが「専業主婦って、(世の中に)いるの?このあたりじゃ、みんな共働きがあたりまえ。パートでも内職でもしてないと、生活できない」という地域なのです。

一家12人が生活するのがどれだけ大変か。
女性の「生産効率が悪い(※菅さん談)」中、10人も生んでいるというとても頼もしい家族を、なぜ大切にできないのでしょう。
みんなも苦しいんだから、あんたたちだけ特別扱いできない・・・と言わんばかりの行政の冷たさは何なのでしょう。
少子化対策をなんとかせにゃならん、と言いながらも、たくさん生んで、一生懸命育てて、困ったときに助けを求めても、「それはあんたらの勝手」という態度なら、子どもを生む気持ちになれますか?

いま、全国では、「子育てにやさしい街」をスローガンにとりくんでいる自治体が多くなっています。人口が減少する中、子育て中の家族にたくさん住んでもらうことによって、人口が増え、街の活気が増し、ゆくゆくは税金を納めてくれる人たちが増えるからです。
長い目で見れば、子育て中の家族をサポートすることは、その地域の発展にもつながることなのです。
地方の過疎化対策というのは、そういう視点も必要なのではないでしょうか。

きょうのニュースの中では言えなった本音をここで書きました。
笛木さんご家族が、ほんとうに安心して暮らせる社会であってほしいです。