メンタル強化のトレーニングのために、エゴサーチ(自分の名前を検索にかけて、自分に対する悪口などをみること)をしている、ということを勝間和代さんやはあちゅうさんの著書で読んだことがあります。

まあ、わたしには、とてもとてもできませんが、正しいと思うことをはっきりと主張する「強い人」と思っていた人は、最初から強い人、ではなく、「強くなるためにトレーニングしている人」なんだなと感じたことを思い出します。

鋼のメンタル 百田尚樹

さまざまにバッシングされても、言いたいことをはっきり言うから、「百田さんは鋼のメンタルだよね」と周囲からよく言われることが、この本を書いたきっかけだったそう。

しかし、ほんとうはものすごく精細なメンタルで、周囲のことを気に掛けるし、バッシングだってつらいけど、“何があっても屈しない”というイメージの自分でいたいという思いが、「俺はハガネのメンタルなんだ」とタンカ切らせているのかな、と感じます。

時にはやせ我慢して鍛え上げた結果の、ハガネのメンタルなんでしょう。

 

この本は、百田さんの痛快な人生論や処世術を通して、鋼メンタルの鍛え方をおしえてくれます。

たとえば、子どもの「受験勉強」について、百田さんは、「みんなが遊んでいるときに、辛いことをしなければならないトレーニング」だといいます。

自由でのびのび好きなことだけをやらせていたら、社会人になってから「もっと寝たいから寝坊する」「好きな仕事じゃないから手を抜く、すぐやめる」といったことがあたりまえの人格になってしまう。

受験勉強のように、嫌なことでも頑張ってやる訓練は、大人になって役立つということを言っています。

 

また、よく、他人の目が気になるから〇〇できない、そんなことをすれば他人から〇〇と思われる・・・という人のメンタルにも斬りこみます。百田さんは、「そんな人は、逆に、他人から“他人の眼ばかり気にしている人”と軽蔑されているんだよ」と。

ちなみに、ハガネメンタルを代表するような橋下元大阪市長は、「周囲を気にして言いたいことを言えない人は、自分を特別な人間と考えているのではないか」「自分なんてたいしたことのない人間だとわりきれば、何を言ってもどうってことないと思えるはず」と言ったそうです。

 

他にも、甘えたメンタルに容赦なく活を入れます。

たとえば「自分は正しく評価されていない、本当の自分を見てほしい」という人がいます。百田さんは、それは完全な甘えである、とバッサリ。他人は、あなたがみているよりもずっとあなたを客観的にみているし、ふだん表に出ていない自分の優れた点を見つけろというのは甘え以外のほかでもない。周囲の人は、普段の生活であなたが出している能力と言動だけを見ている。だから、周囲の評価は、自分が思うよりも正しい評価を下している、と。

避け飲んでグチっているサラリーマン、耳が痛いですね。

 

やっぱりいま、自分のメンタルが弱いなー、と感じている人が多いんでしょうね。
でもメンタルは鍛えられるんだよ、ということを教えてくれる本です。

 

たまーに、「オレ以外の他人は、オレが幸せになるために存在するものだから、オレ様が好き勝手に使い倒していい」と心底思っているような図々しい人に出くわすことがありますが、これは「強いメンタル」というのではなく、メンタルなんてモノをもっていないヒトだと思うので、近づかないのが一番でしょ。