松本元復興相の発言が、テレビを賑わした1週間でした。

「国にやってほしいことについて、地元でのコンセンサスはきちんととってほしい」「国に何かやってもらうのを待っているだけではなく、地元でも、知恵を出してほしい」というようなことを言いたかったんだと思いますが、言い方が悪かったですね。

たぶん松本氏は、「オレ様」キャラで今までやってきて、地元でもそれで認知されてきた人だと思うんですが、こういうキャラを出しても許される場というのは、お互いの性格を知りつくした間柄くらいだろうし、または、石原都知事のように「あの人は、ああいうキャラだからねー」と、みんながその“ぶっとび具合”を、認知している場合だけなんでしょうね。
復興相になったばかりで、国民のほとんどが、「あんた誰?」という状況の中で、オレ様ふるまいをされたら、そりゃ、みんなカチンとくるでしょうし。

ただ、OLを20年以上やっているわたしなどは、松本氏の発言に、なつかしい「昭和の香り」を感じたものです。
わたしが入社した20数年前なんて、会社のほぼ9割以上が、あんな口のきき方だったですよ。特に、女性新人なんかに対しては。
学校の先生だって、行政だって、タクシーの運転手さんだって、超「上から目線」だったなあ…(しみじみ)。

とはいえ、そんな時代の移り変わりを理解せず、いまだ周囲に対して「オレ様」発言を繰り返している、リーダーの方々には、いいケーススタディになったのではないでしょうか。

さて、今週私が手にしたのは、遅ればせながらのベストセラーです。

原発のウソ 小出裕章 扶桑社新書

原発推進の大合唱の中、40年にわたって原発の危険性を訴え続け「異端」の扱いを受けていた、京都大学の研究者です。

原発・放射能関連のニュースは、毎日あふれるほど報道されていますが、なんとなくわかったつもりでも、あまりよくわかっていないこと、たくさんあるのではないでしょうか。たとえば、セシウムとかストロンチウムとかプルトニウムとか、よく耳にするけど、いったいどんな物質なのか、これが検出されたということは、どういうことを意味するのか、そんな基本中の基本がよくわかりました。

この1冊を読むと、毎朝の新聞やニュースの受け取り方も変わってきます。

原発に対するスタンスはどうするか。
これは、それぞれの人が自分で考え、選択することだと思います。

わたしたちは、「わかりやすく」ニュースを伝えるということを第一にしていますが、難しい説明を避け、シンプルに「わかりやすく」しようとすればするほど、言葉をそぎ落として伝えてしまうことがよくあります。
でも、受験勉強でもなんでも、ほんとうに「理解」しようと思えば、同じことを何度も繰り返して読んで聞いて、口に出してみて、ようやく頭の中に入るもの。
こういう手法は、現在のテレビでは、まずありえませんが、原発とか放射能などに関しては、すべての人がよく理解でき、「自分の考え」を持てるくらいになるまで、たとえば24時間の専門チャンネルを作る勢いで、情報を出し続けることが必要なのではないか…。

元復興相の「不愉快な言葉」の断片をくり返し放送し、「不愉快な感想」を垂れ流すだけの不毛な番組を見ながら、そんなことを感じました。

←街に出ると、あちこちに、自由に願い事が書けるようになっている笹飾り。タコ松大喜びで書いてますよ。「けえさつになりますよおに」だって。