先日、ラジオ番組の中で「日能研」松山校の戸高教室長に話を聞いた。
日能研は、難関校合格への中学受験塾の雄として知られている塾である。
愛媛での難関中学といえば、いわずもがな「愛光」であるが、愛光含め、愛光以上の難関校をメインターゲットにしている。
わたしなどからすれば「愛光に合格した」「愛光の出身」と聞けば、ものすごーく頭いいんですね、と仰ぎ見る存在であるのだが、ネットで調べてみると、それでも全国の難関中学のなかでは「20~30位」のランキングになるらしい。
ついでに全国トップクラスを調べてみると、
開成中学
筑波大付属駒場中学
灘中学
麻布中学
駒場東邦中学
女子学院中学(唯一の女子校、あとは男子校)
あたり・・・
じゃあ、トップクラスの難関校に入るような子はどんな子ですか?と戸高教室長に尋ねると、
「学校の1回の授業だけで十分理解できる頭の良さはもちろんですが、たとえば、きょうニュースでなにかあったとすると、翌日には、われわれ大人も知らないような内容を自分なりに調べて、私たちに解説することができるような子」―。
ただでさえ地頭がよく探究心もある子が、さらに勉強をして勝ち抜くことができた子のみ入るのが、全国の難関校なのだ。
遊ぶことが大好きで、塾にも行かず、学校の授業だけでいつも学年トップの成績の子って、学校に1人くらいいますよね、そういった子ですか?と尋ねると、戸高教室長は笑っていたが、たぶん、分母は「学校」ではなく「愛媛県」くらいになるんだろう。
そんな取材をしていたら、こんな本を見つけた。
学歴ではなく、塾歴?
【塾歴社会】おおたとしまさ
ざっくり言うと、
【都会には成績最上位の子どもたちだけしか入れない塾があり、その塾出身者が東大医学部合格者の大半を占めている】
ということ。
首都圏・関西圏には、最難関中学合格者数ではトップの「サピックス」という塾がある。入塾テストもあり、成績が届かなくて塾に入れない子もいる。
〝できる子“が集まるサピックスで切磋琢磨し、上記のような難関中学に入学。本格的な勝負はそこから始まる。
ちなみに本によると、
2015年の東京大学合格者数ランキングは
1位 開成
2位 筑波大付属駒場
3位 灘
4位 麻布
5位 駒場東邦
となり、その合格者に占める「サピックス」出身者の割合は、開成6割、筑波大付属駒場7割、麻布5割・・・である。
恐るべし、サピックス。
それだけじゃない。
そのトップ受験塾「サピックス」には、さらに成績上位者だけが入れる塾があるという。
「鉄緑会」という。
東大理Ⅲ(医学部)の同窓会組織「鉄門倶楽部」と東大法学部の自治会「緑会」から取っているそう。
入塾の条件は、サピックスの最上位クラスにいることはもちろん、指定校制度さえもある。東大合格者全国8位という偏差値の高い中学であっても指定校でないと入れない。
東大医学部合格者の6割以上は鉄緑会出身者であり、「東大医学部や難関医学部に入るためには、最難関中学よりも鉄緑会に入るべき」と言われているらしい。
ただ、東大医学部に入るためのノウハウが詰まった鉄緑会の宿題は、膨大な量であり、最難関中学校に入ったとしても、学校の授業中に鉄緑会の宿題をする、「内職」をしないとこなせないそう。
もともと地頭のいい子どもが、さらに猛勉強をするわけです。
本の最後に、鉄緑会出身東大医学部生の対談がある。
膨大な量をこなすためのスピードと処理能力が求められる鉄緑会の宿題も、彼らにとっては、ちょっと頑張ってフツーにやってきた、という印象。彼らの友人たちも、物理オリンピックのメダリストがいたり、高校生ながらITで起業して大金を稼げる子がいたり・・・・単なる「お受験バカ」ではない。
著者は、「できる子はできる。できる子はできる子同士集まる。普通の子は無理しすぎないように」と忠告する。
フツーの子に、膨大な勉強量を、「やればできる」と押し付けることで壊れてしまったり、本来その時間で身につけることができたはずの経験さえも奪ってしまいかねない。
スポーツや音楽、芸術などと同じように、「勉強」も才能のある子とない子ははっきりしてるというわけなのですね。
つまり、身の丈を見極めることが大切なんだろうなと。
わたしにとって、一生交わることのない世界を、垣間見ることができた本でした。