自分の働くエネルギーがそのまま会社のエネルギーに移行することが実感できた20代30代と違い、
なんだか空気が違ってきたかな?と感じるようになった50代。
タイトルに惹かれて手にした本は、

『終わった人』 内館牧子

「終わった人」とは、定年退職を迎えた人のこと。
この物語は、東大を卒業しメガバンクに就職、がんがん働き成績を上げ、
同期の中でもトップクラスに出世したが、49歳の時、関連会社への出向を命じられ…
という主人公が、転籍先で定年退職を迎えた日からはじまります。
「終わった」ことをなかなか受け入れられず、居場所と生きがいを探し、
あがき続ける姿が描かれる、というストーリーです。

会社の社員を入社年ごとに横1列に並べてみる。
一番下の列は新入社員、その上段に入社2年目、その上に3年目…と重ねてゆく。
最上段に最年長の列を置いたところで、全体に三角形の図形をばーんと置いてみる。
底辺には新入社員、頂点は社長となる。
そして、同じ年次でも三角の図形内に入れる人と、入れない人がでてきて、
年長の段になるほど枠外者が増えていく。
この三角形が会社のエンジン部分とすると、図形の中にいる人は「まだ終わらない人」。
こぼれた人は「終わり支度をはじめる人」になる。

サラリーマンって、自分が進む道の切符は、他人に握られているのよね。
いつの間にか三角形の外に出されていたことに気づき、どうあがこうとも、渡される切符には
「終わりの日」へのソフトランディングしか記されてないんだな。

バブルの大量採用時代のお荷物世代、なんて陰口も聞こえてきたりするわたしたち世代。
定年カウントもヒトケタになって、ストーリーのもの悲しさがリアルに伝わってくるだけに、
「終わりの日」くらいは、ユーロビートの中、お立ち台で踊りまくってみようか。