アナウンサーをもう四半世紀もしているくせに。
アナウンサーを志望する学生には、「アナウンサーはしゃべるのが仕事ではない、
聞くのが仕事だ!」なんて偉そうなことを言っているくせに。
いつまでたってもうまくならないのがインタビュー。
コンプレックスをふつふつと抱えながら、手に取ったのがこの2冊。

コンサルタントの「質問力」  野口吉昭  PHPビジネス新書

経営コンサルタントというのは、企業の見えない問題点を見つけ、対策を提案するという
仕事です。何らかの問題を抱えているからこそ、コンサルタントに仕事を依頼する
わけだけど、「あなたの会社が抱えている問題を、わたしにわかるように話してください」
といって、すすっと、内部を晒してくれるわけではありません。
この人になら会社の運命を任せてもいいかも、と、思ってもらえるくらいの信頼関係を
築くためには、どんな質問力が必要なのか。

聞く力 阿川佐和子 文春新書

年間のベストセラーになった本「聞く力」。
あんな気難しそうな人に、なんで、気分よくいろんなことを話してもらえるんだろう。
聞きにくいことも、相手を不機嫌にさせずにズバッと聞けるのは、どんなテクニック
なんだろう。
阿川さんのインタビュー力の秘訣はなんなのか。

わたしたちが誰かに「インタビュー」をするときは、下準備として、可能な限り、
相手の著作や作品、過去のインタビュー記事などを読んだり調べたりします。
それで、だいたい相手の人物像を大まかにつかみます。
そのあと、想定する質問を、こと細かに書き出して、台本みたいなものを、
あらかじめ自分で作ってしまう・・・というのが、駆け出しの頃の代表的な失敗の
パターン。
確かに、しっかり準備はした、という自分自身の安心感みたいなものにはなるけれど、
これをやると本番で自分が作っていた手順だけにとらわれてしまい、せっかく
相手の発した「面白い話に発展するはずのオイシイ一言」を聞き逃して、次の質問に行き、
結局、面白みのないインタビューになってしまう・・・という典型的な失敗パターンも、
阿川さん経験済みだったのね。

また、言葉のキャッチボールというように、インタビューは、ポーンと投げたらすーっと
返ってくる…というのが理想の形であると思いこんでいるものだから、言葉の少ない人、
じっくり考えるタイプの人、が相手になった時には、なにもしゃべらない「間」が2秒3秒、
5秒も空いてしまうと、もう、聞き手のこちらが焦ってしまって、なんとか言葉を
つなごうと、どうでもいいことや余計なこともしゃべってしまって、自滅してしまう…
というのも、駆け出しにありがちなパターンですが、阿川さんも、似たような
ご経験があるということで、なんだかほっとしました。

いろんな失敗を重ねながらも、阿川さんなりの「人の心をほぐす方法」を見つけていく
わけですが、そういった内容からも、インタビューを生業とする者にとっては、
共感しながら、また、新しいヒントをもらったり、とても役に立つ指南書でもありました。

2冊の本を読んで感じたのは、結局、「その場の空気を瞬時に読み取れて、
話のキモを判断できる」アタマのいい人じゃないと、インタビューは上手くならないんだ、
やっぱわたしはダメだ…というアキラメ感ではあったのですが、
「あなたのことを、とても興味があるんですよ。あなたの魅力をもっと知りたいんです」
という態度でインタビューに臨むのが大切、ということが共通の基本姿勢でもありました。

思いおこせば、カメラが回っているときとそうでないときの態度が、「お見事!」と感心(?)してしまうほど違う政治家もいたし、何ををきいても興味なさそうな態度をとられて、意気消沈してしまった相手もいたし、本番前の雑談では家族の面白いエピソードを
さんざん話してもらったのに、本番に家族の話はNGなんてタレントさんもいたり…

いろんなハプニングがあるのがインタビュイーの面白さでもあるんでしょうが、
25年たった今でも、やっぱわたしは、舞い上がり、キンチョーしてしまうのです。

☆☆☆☆☆

3月8日(金)の衣装です。
フォーマルを、可愛い感じで着ることができますね。

リボンが素敵。

衣装協力:M’S GRACY(エムズグレィシー)     松山三越2階