ダンナがわりかし長い出張に出た。
こまかいA型らしく、タコ松に賞味期限切れのものは食わすな、とか、転ぶと危ないのでつかまり立ちをしたときは必ず後ろにいろ、とか、一人にしとくのはかわいそうなので、タコ松が寝てから風呂に入れ、とか・・・1ヶ月前からさんざん繰り返していた。

適当に聞き流していると、出発の朝、細長いダンボール紙を渡された。
「タコ松のいる部屋のドアを開けるときは、まず、ドア下の隙間にこの紙を突っ込んで左右に動かし、タコ松の手がないことを確認してから、ゆっくり開けて」だって。
わたしがいつも勢いよくドアを開けるので、万が一ドアのむこうにタコ松いたならば・・・とひやひやしていたんだそうだ。
100万回開けたら、1回くらいあるかもね。

まあいいや。
わたしは、ダンナにはないしょで、母と3人、近くの温泉旅館に予約を入れていたのだ。
うざい伝言も、右から左に受け流せまっせ。

さっそく温泉に入りまくっておいしいもの食べて、タコ松と母とのんびりしていたとき、出張中のダンナから電話。
第一声が、「ドアは、ちゃんとダンボールで確認してから開けよる?頼むから、タコ松の指を切断せんとってや」―。
「やっとるかいボケ!」と思いながらも、さっさとくつろぎたいので「はいはいはいはい」と返事。
しかし、いつもと違う気配を感じたのか、「どっかにおるん?」と聞いてきた。
仕方ないので、温泉旅館にいることを告げると、「そうなん・・・」となんだか悲しそうな声。
だまってて悪かったかな?とちょっと胸が痛みかけたが、すぐ、「そこベッドやろ?ベッドからタコ松が落ちんようにちゃんとしとる?ベッドは壁につけて、反対側に寝ること。ベッドの周囲にはクッションや毛布を敷いて、転落しても、危なくないようにすること。温泉は何度も入れないこと。食べ物は、生ものを食べさせないこと・・・」

始まってしもたで。
「わかったわかった」と、耳掃除しながら適当に返事をしていたら、「たのむけん、タコ松を殺さんとってよおぉぉーーーー!!!」。

ひれ酒も冷めるので、ぶちっと電話をきりました。