かわいいキャラクターの表紙から、LINEを立ち上げた若者たちの奮闘記、のようなイメージをもっていましたが、全く違っていました。
経済小説「ハゲタカ」や「半沢直樹」と似たニオイをもつ、権謀術数のIT業界のルポでした。
【韓流経営LINE】 NewsPics取材班
東日本大震災をきっかけに誕生した純和製のメッセージアプリ、として喧伝されていたLINE。
じつはその10年も前から、日本での市場制覇をめざして綿密に準備をすすめていた韓国のIT企業「ネイバー」がつくったものだったというのはよく知られた話。
わたしたちはネットで検索するとき、グーグルやヤフーを使いますが、韓国ではネイバーが検索エンジンのシェア7割にもぼる、圧倒的な存在です。
LINE本社は日本ですが、その司令塔は、親会社である韓国のネイバー本社に近い「LINEプラス」にあるといいます。新製品開発や世界市場戦略などの重要な決定は、ネイバーから送り込まれた韓国人によってなされているとも。
サムスンやヒュンダイのように「嫌韓感情」から日本市場では成功できないことを熟知していたネイバーは、あえて「韓国色」を隠し、純和製のアプリとして大々的に売り出したわけです。日本から火がついたLINEは思惑通り、タイやインドネシアでも成功し、アジアでは絶対的なシェアを持つようになりました。
LINEを象徴するグリーンも、ネイバー本社の企業カラーだし、スタンプのメインデザイナーも韓国クリエーターだし、ストックオプション(※会社への貢献度に対して与えられる)保有のトップ10のうち日本人は2人しかおらず、あのLINE創業時の顔だった森川亮元社長でさえ14位。
ただ、決して韓国人に支配されているというわけではなく、開発や運営にはかつてのライブドアの優秀な人材も多くかかわっているそう。
人口が5000万人しかいない韓国は、起業のときから、マーケットは世界を照準にあて、戦略を練っているといいます。サムスンやネイバーのように、世界の動きに瞬時に反応し次の手を打ってでることが当たり前になっている。
日本と韓国のハイブリッドな人材で開発・運営し、グローバル戦略に慣れている韓国企業の指令によって成長を目指すLINE。
かたや日本は、かつてガラケーに固執するあまり、スマホのグローバル競争に乗り遅れてしまったように、いまだ「メードインジャパン」にこだわりすぎてはいないか、と著者は警鐘を鳴らしています。
いちどもLINEやったことないわたしが言うのもナンですが、予想以上に面白い本でした。
そうそう。
文中インタビューで、ホリエモンいわく、
『日本でLINEを使わなかったら仕事にならない。コミュニケーションをとらないと言ってるのと同じじゃないですか』って。
やばい?