正月、母の故郷のお宮にお参りに行こうという話になった。

  ・・・甘かった  ――  山だった。

 母は子供の頃、この山道をいつものぼっていたらしい
                                
                               
山懐の小さなお宮さんはきれいに掃除されていた。
人は誰もいなかったけれど、灯りがともされ御神酒が準備されていた。

  「昔はここに大きな木があって・・」
  「鳥居はもっともっと高かったように思ったけど・・」  

今では膝が傷み、今回だってこの坂を見た時は止めようと思ったけれど
母は木切れを杖にしてゆっくり山道をのぼりきり、懐かしい風景を眺めながら昔を思い出していた。

                                                       .
山は青き ふるさと